【徹底検証!】札幌ドームの“悪者”レッテル貼りは本当なのか!?

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2008年に行われた世界ラリー選手権(画像は連続写真を合成)

今季からファイターズが北広島市に移転。球団が去った札幌ドームの経営は厳しい状況だ。さらにネット上では毎日のように〝札幌ドーム叩き〟が行われている。実際はどうなのか。徹底検証した。

球場使用料、物販収益、人工芝問題……

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札幌ドーム

「日本ハムを裏切った札幌ドームの末路」
「札幌ドーム破綻!?殿様商売がもたらした絶望と挫折」
 実は今、YouTube内で毎日のように札幌ドームに関連したこんなタイトルが躍っている。
“札幌ドーム叩き”の発端は北海道日本ハムファイターズの新球場構想が取りざたされるようになった2016年までさかのぼる。
 ドームは市が所有し、第3セクターの「株式会社札幌ドーム」が運営している。
 そのため球団は施設側に使用料を支払う形で主催試合を行っていた。
 ファイターズが北海道へ本拠地を移転したのは2004年。それ以降、球団は使用料の減額、運用改善などを求めてきた。
 しかし、市側も十分に〝向き合う〟ことをせず、双方の間にミゾができた。
 当時、関係者の間では「球団と交渉の窓口になっていた市の所管部署がお役所体質で、上から目線の対応で球団担当者を怒らせた」という話が流れた。
 一方で、「売り言葉に買い言葉ではないが、球団側もまた、上から目線で市の担当部局を変えさせていた」(市関係者)という話もある。
 結果的に落としどころが見つけられないまま、球団は札幌ドームを去ることになった。
 一概にどちらが悪いとは言えないが、世間は札幌ドームに悪者のレッテルを貼った。
 ネット上ではファイターズが出て行ったのは「札幌ドームのせい」と言われ、こんな批判がはびこる。
「球団が札幌ドームに値下げ交渉を行ったが、ドームは拒否。さらに値上げまで行った」
「札幌ドームはすべての物販収益を得ていた」
「人工芝が薄く、選手がひざや腰をけがするリスクがあったため、改善を要求したが、ドームが応じなかった」
 これを受け、札幌ドームに精通する関係者は、次のように代弁する。
「基本料金は市の条例で定められているので、値上げをしたわけではありません。ただ、19年に消費税が上がりました。それが曲解して値上げという表現になったのではないでしょうか」
「物販について札幌ドームは、どの興業でも商品の仕入れを行い、販売していました。ドーム側としても一般的な商流を行っていたという認識だと思います」
「人工芝は選手の要望に応えるべく、3回更新を行っています。天然芝には及びませんが、この人工芝は過去にバンテリンドームナゴヤで使用していたものとほぼ同じです。札幌ドームだけ〝ペラ芝〟と言わるのは悲しいですね。芝を巻き取る機会が多く、床がコンクリートというイメージが先行してしまったのかもしれません」

公共施設としてのドームの存在価値

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世界ノルディック大会(2007年撮影)

 ファイターズ戦がなくなった札幌ドームはイベント開催が激減する。昨年度は124日稼働していたが、本年度はプロ野球の試合が無くなり、60日以上の穴が空くことになった。
 当初、24年3月期の決算は、2億9400万円の赤字を想定していたが、さらに額は膨らむという。
 市民からは「税金が投入されるのでは」と不安の声が上がる。
 市議会関係者はこう分析する。
「札幌ドームは内部留保があるので、すぐに税金が使われるということはないでしょう。ただ、この状況が続けば当然、厳しくなる。ドームとしても安定した収入を確保するため、これからネーミングライツの公募を予定していますが、手を上げる企業がないのではないかとも心配されています。この2、3年が勝負の年になると思います」
 赤字が膨らんだ要因の1つとしては、「新モード」の不発だ。
 同システムはドーム内を暗幕で仕切って2万人規模のコンサートを行えるようにしたもの。総事業費は10億円が投入された。本年度は6件の利用を見込んでいたが、現時点ではイベントが2件、コンサートは0件だった。
 地元の音楽イベント会社にヒアリングを行った上で計画を進めたというが、業界関係者からはこんな声が上がる。
「アーティストがドームツアーを行う場合、トラック100台という規模で機材を搬入している。特に北海道は、輸送コストだけでも相当な額になる。そもそも新モードの集客規模では採算が合いません。もともと業界内ではニーズがないと見られていました」
 一方で、イベント会社からは前向きな見方もある。
「コンサートモードとうたってしまったのは失敗かもしれないが、ラグビーワールドカップのパブリックビューイングや吹奏楽イベント『全開エール』などの新規イベントは開拓できている印象です。現場レベルでも、あの手この手で頑張ろうとする姿勢はあるようです」
「過去に行われた世界ラリー選手権やノルディックスキーの世界大会といった〝変わり種〟イベントのように、とにかく積極的にやってみるという姿勢は大事。冬期間に大きなイベントが開催できるのが魅力的な施設です。大通公園の人気イベント『オータムフェスト』の札幌ドーム版を企画してみてはどうか。例えばキッチンカーを集結させる催しを開催しても面白いかもしれない。また、アマチュア利用を増やし、市民に還元することで公共施設としての役割を果たしていけば、札幌ドームの存在価値は高まると思います」

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