【無料公開・09年9月号掲載】常設店の出店計画はナシも…イケアが当別にポップアップストア、過去本誌が報じた道内上陸説② アウトレットモールに出店話も浮上、家具店・イケアが虎視眈々と狙う道内進出
日本一号店の「IKEA Tokyo-Bay」。かつての名称は「イケア船橋店」だった
安くてシンプルなのに、デザイン性に優れてオシャレ。ソファ、ダイニングテーブルなどの大型家具から、子ども用品などの雑貨まで、豊富な商品数から家族全体で楽しめる。それが「IKEA(イケア)」の家具だ。
そんな〝ファスト家具〟の発祥はスウェーデン。1943年創業。60年代に入ると海外出展に力を入れる。ヨーロッパを〝制覇〟すると、アメリカ、カナダなどの北米から、中国、オーストラリアといったアジア、オセアニア地域まで拡大。今では世界最大の家具量販店とうたわれ、売り上げは7・1兆円(2023年)。世界61カ国、約460店舗を展開している(24年時点)。
日本には1974年に初進出。ところが、売り上げが伸びず、86年に一度撤退。その後2002年に再進出を果たす。現在日本国内には14店舗ある。
北海道には、というと、〝イケア未開拓地〟。イケア側がとくに道内に熱視線を送っていたとされるのが10年以上前のこと。当時、道内マスコミ関係者も、その動向を注視していた。ところが、ここ最近は進出情報はあまり聞かれなくなっていた。かつて「北海道はニトリの発祥地だから、なかなか進出して来られないのでは」(マスコミ関係者)というアングラ情報が流れたこともあった。
日本法人イケア・ジャパンが石狩管内当別町に期間限定店舗「IKEAポップアップストア」を出店すると発表したのが3月31日。期間は5月中旬から11月中旬まで、場所は「北欧の風 道の駅とうべつ」の敷地内だ。140平方㍍の空き地にコンテナハウスを設置し、約200点の商品を並べる。同店舗は日本進出20周年を記念した事業で、当別町とスウェーデンのレクサンド市が姉妹都市提携を結んでいる縁から実現した。
小売の店舗展開で重要なのが物流網の充実だ。イケア・ジャパンはこれまで札幌、旭川、函館に商品受取りセンターを置き、オンライン注文品に対応してきたが、25年夏、新たに釧路、苫小牧、帯広の3都市に新設するなど拡充を図ってきた。
ポップアップストアで道内初上陸となるイケアだが、ユーザーが気になるのは常設店の出店だ。しかし今のところ出店計画はないようだ。
今回、財さつJPでは過去、何度か本誌が報じてきたイケア進出説の本誌掲載記事を紹介する(施設の名称などは掲載時のまま)。
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今年に入り流通関係者の間で、世界最大の家具店・イケアの道内進出話が耳目を集めている。同店は日本での店舗網拡大を表明しており、札幌周辺でも土地を物色する動きがあるという。全世界で売上高2兆円を誇る黒船の北海道上陸は、そう遠くなさそうだ。
国内5店舗の売り上げは520億円
「札幌とその近郊は200万の人口を抱える一大商圏。しかも同業他社はニトリくらいしかいない。イケアにとって全国でも指折りの好立地だと思う」(札幌の不動産関係者)
イケアはスウェーデン発祥の大型家具店。倉庫のような建物の外観は、スウェーデン国旗をイメージした青と黄色で塗装され、売り場面積は2万から4万平方㍍と広い。出店地域はフランスやドイツなどのヨーロッパだけでなく、アメリカ、カナダといった北米、中国、オーストラリアなどアジア・オセアニアにまで広がる。現在は、世界36カ国に約280店舗を展開。全店舗を合わせた年間来場客数は4億人。売り上げは2兆円を超え、〝世界のイケア〟と称されるゆえんである。
日本への本格進出は2002年7月のこと。日本法人「イケア・ジャパン」(本社・千葉県船橋市)を設立。06年4月に1号店「イケア船橋」をオープンした。現在は、船橋店を含め、港北店(横浜市)、ポートアイランド店(神戸市)、鶴浜店(大阪市)、新三郷店(埼玉県三郷市)の5店舗体制となっている。
イケア・ジャパンの09年8月期の売り上げ予想は、520億円3000万円。08年には鶴浜店、新三郷店を相次いでオープン。新規店だけなく既存店の業績も好調だったため、売り上げは前年対比で44%増になる見通し。来店者数も前期から47%上回る2020万人を見込んでいる。
日本上陸から約3年半。急成長を遂げる同社の特徴は〝イケア方式〟という販売システムにある。
店内には「ルームセット」と呼ばれる数十室のモデルルームがある。部屋の中にベッドやソファなどの家具を展示。「室内商品の価格は全部で○○万円」と表示している。もちろん単品でも購入も可能だが、ショールーム周辺に商品は陳列されていない。そのため、「ショッピングリスト」という紙に、購入したい家具の札番号をメモして、レジ前の「セルフサービスエリア」に移動する。商品は〝フラットパック〟と呼ばれる最小限の大きさに梱包されている。購入した家具は、〝ノックダウン(組み立て)〟という方式で、家に持ち帰り自分で組み立てる。イケアの最もユニークなところだ。
この手法により、人件費や配送コストをできるだけ抑え、安価な価格を実現。人気を博している。
イケア出店を阻んだ用途指定の壁
今年7月末、イケア・ジャパンのラース・ペーテルソン社長は、新たな日本戦略を打ち出した。開業時期や立地場所などは明らかにしていないが、名古屋市、福岡市周辺、東京都西部の3カ所への出店を検討していることを明言した。
ペーテルソン社長は〝北海道〟という言葉を口にしなかったが、札幌近郊でも土地を探す動きが見られるという。
ある流通業界関係者の話。
「イケアが検討した出店候補の1つが、札幌市豊平区月寒東の『月寒グリーンドーム』周辺だった。八紘学園(北海道農業専門学校)が所有する広大な農地の調査に乗り出したが、士の都市計画上の用途指定がかかっていた。商業施設はもちろんのこと、マンションなどを建設できない。そのため、取得を断念せざるを得なかった。ほかに、石狩市の新港地区に一時、ダイエーが進出を検討した場所がある。地場大手スーパーと組んでの出店を視野に入れているとうわさされている」
ただ、石狩に関しては、「土地を所有する東京の不動産投資会社が、イケア側に出店の意志を直接確認した。イケアは『今のところ予定はない』と回答した」(マスコミ関係者)といった話もある。
またイケアは、北広島市大曲の土地にも触手を伸ばしたと伝えられる。この土地は、本誌08年12月号で既報通り、三井不動産(東京)が取得。アウトレットモール「三井アウトレットパーク札幌北広島(仮称)」の開発が決定した。同社にとっては国内9店舗目。売り場面積は2万3000平方㍍で地上2階建てとなる。10年春のオープンを目指して、建設が進められている。
20代から30代の女性層をターゲットに位置づけ、海外ブランドのほか、スポーツ、アウトドア、観光土産店など約120店舗が出店する予定だ。
道内の家具業界関係者は「実は、イケアがテナントの1つとして入居する説が持ち上がっている」と指摘し、次のように続ける。
「イケアの照明器具や調理用品、雑貨などは、女性を中心に人気が高い。店舗面積が狭いため大型家具は扱えない。小物類を中心とした商品構成になるだろう。しかし、このような形態の店は過去に前例がない。もともとこの土地は、三井不動産だけでなくイケアも狙っていた。出店話に尾ひれがついた形で発展した可能性も考えられる」
イケアが新たな市場を求め札幌圏に熱視線を送っていることだけは間違いないようだ。
※月寒グリーンドーム跡地の一部土地は大和リースが商業施設「ブランチ札幌月寒」に整備され、石狩の新港地区には道内初上陸となったコストコが「石狩倉庫店」をオープンさせた。

