【無料公開・09年3月号掲載】常設店の出店計画はナシも…イケアが当別にポップアップストア、過去本誌が報じた道内上陸説①札幌圏で土地探し!?世界最大の家具店・イケアが北海道に熱視線
日本一号店の「IKEA Tokyo-Bay」。かつての名称は「イケア船橋店」だった
安くてシンプルなのに、デザイン性に優れてオシャレ。ソファ、ダイニングテーブルなどの大型家具から、子ども用品などの雑貨まで、豊富な商品数から家族全体で楽しめる。それが「IKEA(イケア)」の家具だ。
そんな〝ファスト家具〟の発祥はスウェーデン。1943年創業。60年代に入ると海外出展に力を入れる。ヨーロッパを〝制覇〟すると、アメリカ、カナダなどの北米から、中国、オーストラリアといったアジア、オセアニア地域まで拡大。今では世界最大の家具量販店とうたわれ、世界61カ国、約460店舗を展開している(2024年時点)。
日本には1974年に初進出。ところが、売り上げが伸びず、86年に一度撤退。その後2002年に再進出を果たす。現在日本国内には14店舗ある。
北海道には、というと、〝イケア未開拓地〟。イケア側がとくに道内に熱視線を送っていたとされるのが10年以上前のこと。当時、道内マスコミ関係者も、その動向を注視していた。ところが、ここ最近は進出情報はあまり聞かれなくなっていた。かつて「北海道はニトリの発祥地だから、なかなか進出して来られないのでは」(マスコミ関係者)というアングラ情報も流れた。
日本法人イケア・ジャパンが石狩管内当別町に期間限定店舗「IKEAポップアップストア」を出店すると発表したのが3月31日。期間は5月中旬から11月中旬まで、場所は「北欧の風 道の駅とうべつ」の敷地内だ。140平方㍍の空き地にコンテナハウスを設置し、約200点の商品を並べる。同店舗は日本進出20周年を記念した事業で、当別町とスウェーデンのレクサンド市が姉妹都市提携を結んでいる縁から実現した。
小売の店舗展開で重要なのが物流網の充実だ。イケア・ジャパンはこれまで札幌、旭川、函館に商品受取りセンターを置き、オンライン注文品に対応してきたが、25年夏、新たに釧路、苫小牧、帯広の3都市に新設するなど拡充を図ってきた。
ポップアップストアで道内初上陸となるイケアだが、ユーザーが気になるのは常設店の出店だ。しかし今のところ出店計画はないようだ。
今回、財さつJPでは過去、何度か本誌が報じてきたイケア進出説の本誌掲載記事を紹介する(施設の名称など掲載時のまま)。
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「イケアが札幌周辺で土地を探している」――そんなまことしやかなうわさが、流通関係者の間で話題に上がっている。イケアといえば、全世界で売り上げ2兆円超を誇る世界最大の家具・インテリア販売店。〝火のないところに煙は立たない〟というが、真相はいかに。
家具を自分で組み立てるイケア方式
「土地を仕込んでいると、『イケアが札幌周辺で土地を探している。道内進出を本気で考えているようだ』という話を、不動産関係者から聞かされる。既に取得に乗り出した土地もある。道内の家具市場はニトリの独壇場で、イケアからすれば競合相手が少ない。ましてや、札幌近郊は200万人を越える人口を抱える大商圏。イケアにとって大変魅力的な地域だと思うよ」
ある流通関係者はそう打ち明ける。
イケアはスウェーデン発祥の大型家具店。フランスやドイツ、スイスなどのヨーロッパだけでなく世界各地に出店攻勢をかけている。アメリカやカナダといった北米から、中国やオーストラリアなどアジア、オセアニア地域まで拡大。いまでは世界36カ国に約280店舗を展開している。全店舗を合わせての年間来店者数は4億人。売り上げは2兆円を超える。
イケアは、1974年に大阪の湯川家具や東急百貨店などが設立した合弁会社に商品を卸す形で日本初進出。しかし、売り上げが伸びず86年に撤退するという苦い経験をした。
その後、01年に日本再進出を決定。02年7月、日本法人「イケア・ジャパン」を設立し、06年4月、千葉県船橋市に1号店「イケア船橋」をオープンした。国内は船橋のほか、横浜、神戸、大阪、埼玉県三郷市に出店している。イケアの店舗は、巨大な倉庫のような建物で、外観はスウェーデンの国旗をイメージした青と黄色で塗装されている。
売り場面積は2万~4万平方㍍と広く、店内にはスウェーデン料理のレストラン、子ども向けの遊び場などがあり、1日中いても飽きない店づくりになっている。
イケアといえば、日本人にはなじみの薄い独特の販売システムが特徴だ。店内には「ルームセット」と呼ばれる数十室のモデルルームがある。部屋の中には、普通の家と同じくベッドやソファ、タンス、テーブルなどが展示されていて、「室内の商品は全部で○○万円」と価格を表示。もちろん単品での購入も可能だ。しかし、ショールームの周辺に商品が陳列されていない。これがイケアのユニークなところ。客は店内に置かれている「ショッピングリスト」という紙に、購入したい商品の札番号をメモする。
レジの前にある「セルフサービスエリア」に移動。在庫が天井すれすれまで積まれた倉庫のような棚から、メモした番号を頼りに自らほしい商品をピックアップ、レジへと向かい会計を行う。
商品は〝フラットパック〟と呼ばれる最小限の大きさに梱包されている。購入した家具は、家に持ち帰り自分で組み立てる〝ノックダウン(組み立て)〟という方式。商品の組み立てを依頼することも可能だが、別途費用がかかる。また、有料の配送サービスも行っている。家具だけでなく小物類も充実。照明器具や調理用品、雑貨などオシャレで洗練された商品が多く、女性を中心に人気がある。
このように商品の在庫確認や運搬作業などを、自らの手で行う。そのため、売り場面積が広い割に、店員の数が少ない印象を受ける。
〝イケア方式〟で人件費や配送コストを抑えることにより、手ごろで安価な値段の商品を提供できるというわけだ。
用途指定のため月寒の土地を断念
そんな〝世界のイケア〟が、道内にやって来る可能性はあり得るのか。
イケア・ジャパンの担当者は「今のところ、2009年は新規出店の予定がありません。北海道を含め、新たな地域への出店も考えていない」と語っている。
しかし、大手スーパーの幹部は「少なくともイケアが獲得に動いたといわれる土地が、2カ所あった」と興味深い指摘をする。
1つが、札幌市豊平区月寒東の「月寒グリーンドーム」周辺だった。
「グリーンドームの周辺は、八紘学園(北海道農業専門学校)が所有する広大な農地がある。イケアは具体的な調査に乗り出したが、思わぬ壁にぶち当たってしまった。札幌市の都市計画上の用途指定がかかっていた。イケアのような商業施設はもちろん、マンションすら建設できない。建てられるのは戸建て住宅のみで、イケアはあえなく断念した」(前出スーパー幹部)
継ぎにイケアが触手を伸ばしたのが北広島。本誌08年12月号でも捧持した三井不動産が取得した大曲地区の土地だ。
三井不動産はスーパーを核とした「大型ショッピングセンター」、もしくは規格外商品を低価格で販売する「アウトレットモール」を建設予定。年内にも着工し、10年春の開業を目指している。「イケアは、最後まで三井不動産と争った」(前出スーパー幹部)という。
このようにイケアが、新たな市場を求め、札幌圏に熱視線を送っていることだけは間違いないなさそうな気配。石狩市の新港地区など、札幌周辺には好立地がまだまだ残されている。今後、イケアが北海道に初上陸することも、十分考えられる。
※月寒グリーンドーム跡地の一部土地は大和リースが商業施設「ブランチ札幌月寒」に、三井が取得した北広島大曲地区の土地は「三井アウトレットパーク札幌北広島」に整備され、石狩の新港地区には道内初上陸となったコストコが「石狩倉庫店」をオープンさせた。

