『松本清張の女たち』『追跡公安捜査』

〝騙された〟 いや、ぼくの〝早合点〟か。しかし、どっちにしても、この題名は狡い。 ――『松本清張の女たち』(酒井順子著、新潮社刊)のことだ。副題に「衰えぬ人気の陰に『女』あり。」とある。 この本を書店の棚で見つけたとき、年上の知人の顔が浮かんだ。彼は「清張に似てるね」と言うと、少し嫌な顔をする。それもそのはず、清張のトレードマークは分厚いタラコ唇。あのご面相...

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