【無料公開】疑惑しかない 渦中の樽井功会長は回答拒否 JA北海道中央会役員“一気飲み”強要

©財界さっぽろ

JA北海道中央会会長の樽井功氏(左)と同会事務方トップの学識経験枠専務理事で、一気飲みを強要したとされる柴田倫宏氏

 JA北海道中央会が役職員を集めて開いた懇親会の席上、専務の柴田倫宏氏らが一気飲みを強要した――「財さつJP」での公開質問状を記者会見で渦中の同会会長・樽井功氏にぶつけたが、樽井氏はあろうことか、回答を拒否した。

懇親会の狼藉は「個人的な事案」

「懇親会の場にいた中央会職員が次々『一気飲みをさせられた』とわれわれに訴え出ている。その音頭を取ったのは柴田専務とその子飼い職員。とくに女性職員がショックを受けている」
 9月15日、JA北海道中央会は「スポーツ大会」と銘打った、職員向けの親睦会を本所勤務の役職員向けに開催した。
 会長の樽井功氏を始め総勢50人以上が、1次会のボウリングに続き、ススキノの「G」という大型居酒屋で開かれた懇親会に参加。
 冒頭の証言は、複数の情報源から本誌が得た〝狼藉〟だ。
「柴田専務自ら、その場にいた職員に対して一気飲みを勧めた。勧めるというよりほぼ強制。下品な一気飲みコールが大声でがなり立てられ、誰もやめようとは言えない雰囲気だった」
「よく出張に同行させるお気に入りの複数の役職員が同調して煽っていた」
「専務一派が煽って煽って最悪だった。二度と彼らとは一緒に飲みたくない」
 本誌はこうした職員やJAグループ関係者の証言を得た上で、10月2日、同会の広報窓口である共通広報課長の高橋雅史氏に連絡。上記の件について、事実確認を主とした質問書をメールで送付し同5日木曜午前までの返答を依頼したが、本誌の締め切りまでに何の連絡もなかった。
 そのため予定していた本誌先月号での掲載を見送った上で、10月13日午後にあらためて高橋氏へ架電。すると高橋氏は「(同会からの)回答は差し控える」とのこと。そのため、当社ニュースサイト「財さつJP」にて記事を公開した(参考URL)。
 同会に送付した質問内容も掲載。柴田氏が一気飲みを勧め、音頭を取ったのは事実か、樽井氏もその場におり、柴田氏を止めなかったどころか、自らも一気飲みを勧められて、行ったのは事実か――など。
 その上で、10月31日のJAグループ北海道定例記者会見にて、樽井氏に一気飲みの有無や柴田専務の関与について質問すると予告。だが当日、実際に樽井氏へ尋ねると「個人的なことについてはこの場で回答を差し控えさせてもらいたいと思います」と答えを拒否した。
 再度質問するも、樽井氏は「個人的な事案」を繰り返した上で「広報の高橋氏が判断する」と説明した。
 そのため、会見終了後、高橋氏にあらためて問いただそうとすると、上司とおぼしき人物が割って入り、本誌記者にこう言い放った。
「(財界さっぽろには)一切回答をしませんから」「こういった話に回答する必要はありませんので」

柴田専務への強まる権威勾配

 一気飲みなどアルコールに関連する話題の啓発事業に取り組むNPO「ASK」(東京都)は「上下関係を背景としたアルハラは、逆らえない心理や場の空気を生むため、とても危険です。日本人の半数がほぼお酒を飲みません。職場としてその人たちへの配慮は必須です」と話す。
 その上で「飲めるタイプの人たちも短時間に大量のお酒を飲めば急性アルコール中毒になりますし、飲み会では酩酊者が出ないよう注意する必要があります」と説明する。
 ある中央会理事は、本誌記者から柴田氏らの行状を聞いて絶句。
 会見の前週に開かれた同会理事会では「一切(一気飲みと財界さっぽろの)話は出なかった」とした上で「コロナ禍も明けて職員同士、大人数で飲むことはかまわないと思う。だが一気飲みは考えられない。樽井会長もそんなことでは…」と呆れる。
 件のスポーツ大会とその後の懇親会は、同会の公式な行事として行われている。
 中央会は、傘下のJAがそれぞれの組合員に課した賦課金を吸い上げて運営されている組織。さまざまな補助金事業などの税金も入り、年間予算額は30億円弱にも上る公の組織だ。
 農家のカネで運営している組織の公式行事で起きたことを「個人的なこと」で済まし、公の場でも、本誌に対する個別の対応でも回答できなかった、あるいは意図してしなかった。そもそも「個人的」とは誰を指すのかすら不明だ。
 実際、その場で何が起きたのか、もはや言うまでもないだろう。
 余談だが、本誌記者の前に割って入った高橋氏の上司とおぼしき人物について、後日中央会関係者に聞くと「専務に気に入られて出世できるか瀬戸際にいる。専務の覚えめでたいことが今の中央会での出世の唯一の道。だから必死なのだろう」との話があった。
 本誌記者は今年だけでも複数回、柴田氏に同会の人事を始め権力が一手に集中している様と、そのために起きている弊害を報じてきた。一気飲みとその回答拒否も、その一端が露わになった出来事と言わざるを得ない。

こちらもおすすめ

関連キーワード