【独自・無料公開】週刊誌で苦言した北海道農業界のドン(有塚利宣)に〝暴言〟JA道中央会専務(柴田倫宏氏)一派の呆れた保身ぶり【財界さっぽろ5月号予告あり】

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十勝地区組合長会会長・JA北海道中央会理事でJA帯広かわにし組合長の有塚利宣氏

 北海道農業界の司令塔・JA北海道中央会が、本誌に続き事務方の機能不全を詳報した週刊誌報道を受け、大揺れとなっている。とくに道内農業界のドン、十勝地区組合長会会長の有塚利宣氏が中央会専務の柴田倫宏氏らを真っ向から批判した件は、同会や道内JA関係者のみならず、永田町・霞が関にも衝撃が走っている。柴田氏の一派は報道に無視を決め込む一方、中央会理事らに説明をし、必死で火消し。なりふり構わない保身ぶりに、同会内外から「あまりにひどい」との声が噴き上がっている。

報道に事実無根を決め込む

北海道の〝農協のドン〟が激白『使用人の専務が、農家代表の人事に介入するなど言語道断だ』」と題する「ダイヤモンド・オンライン」(ダイヤモンド社)の記事が掲載されたのは、3月29日のこと。明けて本日4月3日発売の「週刊ダイヤモンド」2023年4月8日号にも、同じ記事が掲載された。

 JA関連特集内の同記事では、十勝地区組合長会会長で中央会理事の有塚氏が、中央会職員人事(本誌参考記事1)をめぐって会長の小野寺俊幸氏と専務の柴田倫宏氏が対立したことについて猛批判を展開。「中央会の学経(柴田氏ら学識経験者枠の理事)はわれわれ組織代表(農協の組合長や会長)の使用人。使用人が、組織代表による(役員や幹部職員の)人選に介入するなどとんでもない話」と一刀両断した。

 同じ特集内では、てん菜の交付金対象数量、生乳加工乳補給金など柴田氏らが元凶となった要請活動の連続失態も解説されている(本誌参考記事2記事3)。

 複数の関係者によれば、柴田氏らがダイヤモンド社の取材を察知したのは3月上旬という。
「情報漏洩を防ぐため、マスコミ対応のトップである参事の伊藤謙二氏、道内農業の要望を中央に伝える農政対策部長の平田靖氏らごく一部の側近だけを集め、大慌てで対応を協議。ただ有塚氏が取材を受けた以上、記事が表に出るのを止める手立てはないとして、火消しを図る方向となった」(JA関係者)

 具体的には、同社が送付した質問に対して「事実無根として無視する」ということ。
 その上で「財界さっぽろやダイヤモンドの記事を読んだ、あるいは記事の問い合わせがあった関係者に対しては『九分九厘ウソだ』と主張した上で、求められれば記事のコピーを送付している」(前出JA関係者)のだという。

 中央会の内情に詳しい農政関係者の話。

「日本農業新聞など、関係を切ることが難しい業界紙などに対して、中央会は抗議文や出入り禁止など強硬手段に出るのが常態化している。一方で雑誌などはコントロールが難しい。だから、せめてもの〝仕返し〟に、記事に課金されないようコピーを配っている、と聞いた。永田町や霞が関では雑誌発売前に早刷りが流れることはよくあるが、それは議員や官僚の情報収集の一環で、報道側もいちいち目くじらを立てることはない。だが柴田氏とその一派の行動は個人的な感情が先に立っている」

「3月17日の全道JA組合長会議でも小野寺会長に『報道は事実無根だ』とわざわざアナウンスさせたが、これももちろん小野寺氏の本意ではない。いま、中央会本所では『○○がリークした、許せない』などといった専務一派の怒号やらが常に飛び交い、まともな職員は委縮している。4月1日付けの職員人事でも、リークしたと疑った人間を左遷しようとして小野寺会長が何とか阻止したが、専務一派の意に沿わない職員はさらに閑職へ異動させられた。専務だけでなく伊藤参事や平田部長も専務に面従腹背しながら同じように職員に威張っている。もう何人もが出世の目を断たれ人生を壊され、それを見てきた若手や中堅の有望株が複数、3月末で離職した。組織の体を為していない」

有塚氏の発言を「妄想」呼ばわり

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中央会専務理事(学識経験者枠)の柴田倫宏氏

 末期的状況を示す話がもう1つ、複数の関係者から伝わる。

「ダイヤモンドの記事や中央会理事会で、有塚氏が柴田氏らに苦言していることに対し、柴田氏らは自らに近い理事やJA組合長らに『有塚氏は老齢のため、被害者意識が強くなっている。最近の発言も〝妄想〟と思ってほしい。6月で退任するまでの辛抱だ』と説明している」

 有塚氏と実際に話せばわかることだが、91歳の今も、氏にそんな兆候はない。2月に元官房長官の菅義偉氏が十勝へ来訪した際も特産物の長イモやその選果場の説明、そして菅氏が取り組んできたアイヌ文化振興を念頭に、十勝のアイヌとのかかわりなどを滔々と説明。菅氏も大いに感銘を受けていた。

 霞が関に独自の人脈を持ち、選挙の際は永田町だけでなく政党の支持母体トップと直接連絡を取り合うなど、道内随一の農業界・政界人脈を持つ「道農業界のドン」へのこうしたやり口は、すでに関係各所へ伝わっている。

「全国農政活動の頂点であるJA全中の関係者が報道をもとに、中央会へ照会をかけたという話がある。農林族議員や官僚に会えばわかるが、そもそも柴田氏らは無策で政治頼みの中央要請を繰り返し、議員や官僚の顔を潰してきたことですっかり嫌われ者だ。道内選出議員の出世を待たなくてはならない今の現状で、有塚氏や小野寺会長がなんとか保ってきた九州の農林族重鎮との関係も、2人が退任した後は惨憺たる有様になるだろう」(永田町関係者)

 4月14日に当サイト及びデジタル版、15日から雑誌版が発売の月刊財界さっぽろ2023年5月号では、柴田氏と小野寺氏が対立した中央会人事の顛末や出世を果たした柴田氏子飼いの評判などを詳報する。また次期中央会会長を始め、JAグループ北海道4団体の次期常勤役員を決める役員推薦会議が4月から5月にかけて開かれることから、その顔ぶれを予想。さらに元十勝農協連会長・山本勝博氏とレンダリング事業全国大手との裁判の模様など、北海道農業界注目の話題を今月も本誌だけの独占情報満載でお届けする。

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