Jリード

©財界さっぽろ

広々とした牛舎で数多くの牛を飼育している

逆風に負けることなく、日本の生乳生産を守り、リードしていく

「Jリード」は2005年に創業。十勝平野の東南に位置する豊頃町で牧場を経営する。着実に規模を拡大し、現在の飼育生乳牛は1400頭以上。同エリアトップとなる年間約9000㌧の生乳を出荷している。酪農を題材にした大ヒット漫画「銀の匙」のモデル牧場になるなど、業界内外での知名度も高く、道内有数の大規模牧場として知られている。
 設備投資にも積極的で、一度に多くの牛の搾乳が可能なロータリーパーラーを導入しているほか、21年には木造牛舎を新築した。今後は、ふん尿を再活用できるバイオガスプラントの建設なども視野に入れているという。
 また、一般乳牛の倍以上となる年間2万㌔㌘もの乳を搾れる高泌乳牛「スーパーカウ」を国内に広めたのが井下英透代表。酪農業界の発展に大きく寄与してきた人物で、十勝酪農法人会および北海道農業法人協会酪農部会の副会長などの公職も務めている。
 輸入乳製品の増加や少子化、食生活の変化により、国内の酪農家は厳しい経営を強いられているが、社名であるJリードには〝日本の生乳生産を守り、リードしていこう〟という思いが込められているという。
 井下代表は「酪農家は年々減少しており、そこにコロナ禍で生乳の消費量が減少しました。現在、道内の酪農家は一方的に生産調整を強制されています。牛は生き物ですから、出荷できなくても乳は搾らなければなりません。搾乳するための経費はかかるのです。しかも飼料や燃料費は高騰していますから、このままでは廃業する牧場も増えてくるでしょう。酪農業界を守るという当社の使命を全うするためにも、乳価の早期改定をホクレンやJAに要求しています」と語気を強める。
 また、地域の雇用面への影響も心配している。
「酪農業界が衰退すれば、失業者はかなりの数に上る。かといって地域に受け皿がないケースも考えられます。また、農機メーカーや関連業者への影響も甚大。地域が衰退しますよ」(井下代表)。
 豊頃町の雇用創出に貢献してきた同社では、さまざまな企業努力で雇用を維持しながら、次世代の育成にも力を注いでいる。
 井下代表は「日本の食糧基地である北海道の酪農家として、生乳生産の自給率向上に貢献していく。酪農の未来を担う次世代の育成こそが、酪農業を持続可能な産業へと発展させるポイントです。日本の『食』を支えているという責任感とプライドを持って、この困難に立ち向かっていきます」と語る。

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給餌も機械を用いて省力化
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生産性を向上させるロータリーパーラーを導入
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井下英透代表
Jリード
中川郡豊頃町長節444-1
TEL:0155・79・6000
https://www.j-lead.net/

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