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悠々自適なシニアライフ 暮らしは自分で選ぶ

 シニアのライフスタイルが多様化するなか、高齢者向け住宅も変化している。かつてのような「老後を過ごす場所」ではなく「自分らしく生きるための場所」だ。本特集では、本人はもちろん、家族も納得できる介護事業者や施設などを紹介する。悠々自適なシニアライフを送るための参考にしてほしい。

シニアライフの舞台は自ら選ぶ

 現代は人生100年時代と言われている。一方で、一般的な企業の定年は60~65歳。人生100年時代を迎え、退職後の40年間をどう過ごすかは、これまで以上に重要になったと言える。
 そのため、「老いた後」を意味する「老後」ではなく、「セカンドライフ」という言葉を用いることも増えてきた。第2の人生を有意義に生きていくという発想だ。
 趣味や旅行などを満喫したり、カフェなどの飲食店を開店する人もいる。また、現役時代に培ったノウハウを生かして、社会的な地位を新たに確立した話もよく聞くようになった。「アクティブシニア」という言葉が浸透したのも納得できる。
 かつては、「高齢者の介護は家族が世話をする」ということが当たり前のように思われていた。しかし、近年は家族による介護を望まない人も少なくない。シニア世代自らが「これは私の人生」と早くから準備を始めるケースも増えている。
 こうした変化に敏感なのが、高齢者住宅や介護施設などを運営する介護事業者だ。食事メニューの充実化や医療サービスとの提携のほか、クラブ活動や趣味の教室の開催、イベントの実施などにより、日常生活を豊かに生き生きと過ごせるプログラムを盛り込むなど、多様な取り組みを実践している。「ただ老後を過ごすだけの場所」から「自分らしく生きられる場所」の提供へと変化している。
 最近では、シニアライフによる住み替えも頻繁に行われるようになった。健康状態やライフスタイルに応じて、住居を変えることは珍しくない。そのため、高齢者向け住宅はさらに差別化が図られるようになっている。つまり、悠々自適なシニアライフを過ごすための、幅広い選択肢が用意されるようになってきたのだ。

優先順位を定め適切な選択をする

 しかし、選択肢が増えたことで、何を選ぶのか、どこを選ぶのか、という難しさもある。自宅で過ごし、訪問看護やデイサービスを利用するのか、施設で過ごすのか、さまざまなシニアライフのスタイルがある。
 施設にしても、介護付有料老人ホーム、特別養護老人ホーム、サービス付き高齢者向け住宅、介護老人保健施設、軽費老人ホーム、グループホームなど多様に存在し、それぞれの施設で差別化を図っている。また、自宅から通所サービスを活用するケースでも、通所介護(デイサービス)、通所リハビリテーション(デイケア)、訪問介護・看護などサービスが細分化。その違いが分かりにくくなっていることも事実だ。
 そのため、自分の現状を把握し、やりたいことを考えたうえで、何を優先するべきか決めておく必要がある。
 例えば、「たくさんの人と関わって過ごしたい」「自然豊かな場所で暮らしたい」「同じ趣味を持っている人と思いを共感したい」「万が一の時の医療体制で安心を得たい」などの優先順位があるはずだ。この基準を持つことで、どこを舞台にしてシニアライフを送るべきなのかが見えてくるのではないだろうか。
 次ページからは介護事業者および施設をはじめ、訪問・通所型サービスを取り上げた。
 それぞれの特徴を把握することで、自分にとっての悠々自適な暮らしを選択することができるはずだ。ぜひ役立ててほしい。