教育学 道内私学事情2022

 新型コロナウイルスやウクライナ侵攻などで、若者を取り巻く環境は目まぐるしく変化した。教育現場では変化に即応できる人材の育成が急務となっている。こうした環境変化に強いのが私学だ。独自の教育方針や柔軟な対応力で道内をリードする教育現場を取り上げる。

柔軟な教育体制で多様な個性を育む
私立中高一貫校・私立高校

 変化の激しい現代において、思考力・判断力・表現力を備えた人材が求められている。私立では独自のカリキュラムや先端技術の導入、充実のサポートなど柔軟な教育体制で才能を伸ばせる。公立にはない強みを探った。

 私学では、特色豊かな独自カリキュラムを設定しており、子どもの将来に適した授業が受けられる。公立とは異なり、スポーツや音楽などの芸術分野、施設設備、大学入試に向けたサポートが充実している。柔軟な教育体制が強みだ。生徒個人に合わせて才能を伸ばせるとあり、教育に熱心な保護者から長年選ばれてきた。
 近年、変化の激しい世の中に対応できる人材の創出が求められている。これに伴い、今年4月から高校の学習指導要領が改訂された。各校では新たな教科の導入に加え、探求型授業やコミュニケーション能力の育成、ICT教育などを通じて思考力・判断力・表現力を育むための改革を推し進めている。
 また、昨年度からはセンター入試試験が「大学入学共通テスト」へ変更された。自ら問題を発見し、他者と協力して解決していくための資質や能力も求められている。
 AO・推薦入試も「総合型選抜」「学校推薦型選抜」へと変わり、選抜方法も見直された。「調査書」の内容を評定平均値だけでなく、特長や特技、部活動やボランティア活動、留学経験、取得資格、表彰の記録などまで詳細に記載できるようになり、課外活動も選抜時の重要な判断材料となった。
 私学はこうした新入試制度に対応すべく、教育環境の整備を急ピッチで進めている。中でもICTをはじめとする先端技術は迅速に導入しており、さまざまな授業形態に活用されている。私学こそ子どもの可能性を広げる進学先として最適といえるだろう。親世代はぜひ参考にしてもらいたい。

実践的なカリキュラムで即戦力を育成
専門学校

 専門学校には魅力的な講師陣やプロ顔負けの設備、現場を学べる体験実習が存在する。これによって資格取得を実現でき、憧れる業界への就職率も高い。即戦力を育成する各校の実践的なカリキュラムを紹介する。

 専門学校は「工業」「農業」「医療」「衛生」「教育・社会福祉」「商業実務」「服飾・家政」「文化・教養」の8分野に分かれ、専門性を高める教育を行うのが特徴だ。
 その最大の強みは実践的なカリキュラムにある。大学に比べさまざまな職業の最前線で活躍する講師陣が在籍する。プロ顔負けの本格的な設備やあこがれの職業を身近で体験できる実習もある。これらは若者たちの熱意を高め即戦力の育成に効果を発揮する。
 また、入学から卒業まで充実したバックアップ体制があり、資格の取得率も高い。独自のネットワークを生かした高い就職率も大学には無いものだ。
 そのため、高校卒業後に入学するだけではなく、大学卒業後に新たな夢を見つけて専門学校生になるケースやキャリアアップのために入学する社会人経験者なども多い。さまざまな世代が切磋琢磨して学ぶ環境が整っている。
 さらにここ数年のコロナ禍では、若者はもちろん親世代の職業観も変化。専門学校のニーズも高まっている。知識や技術、資格取得などで不安定な時代を生き抜くための「一生モノのスキル」や「生涯の武器」を身につけることができるからだ。
 そこで本特集では、道内の専門学校を厳選して紹介する。職業能力の育成に特化した実践的な授業内容や資格の取得状況、卒業後の進路といった各校の特徴を網羅しているので、夢を追う若者はもちろん、子を思う親世代にも読んでほしい。

「令和の大学教育」とは

 昭和から平成、令和へと時代が移り変わるとともに、大学の役割も変わってきた。進学目的、学びたい内容に対応すべく、大学が提供すべきカリキュラムも変化するのは当然だ。令和における大学教育とはどうあるべきか。社会はどのような人材を求めているのか。現在、そして未来の大学教育について私学のトップに話を聞いた。