【無料公開】北洋銀行が新ファンドで道内“中核企業”の業界再編を後押し 第1号の介護事業大手「MOEホールディングス」は目標売上高200億円超を目指す!
手を合わせる共同会見の出席者。左からMOEホールディングス会長の水戸繁男氏、同社社長の水戸康智氏、北洋銀行頭取の津山博恒氏、同行子会社・北海道マザーインベストメント社長の荒井広行氏(7月13日、北洋大通センター)
7月13日、北洋銀行と介護事業者地場大手の「MOEホールディングス(MHD)」(札幌市西区)は、共同出資の持ち株会社「MOE NORTH Care The One」を設立した。同行が子会社を通じて組成した「北海道マザーファンド」の出資第1号で、経営環境は厳しさを増す一方の介護業界で、同HDを中核とする業界再編を後押しする。
「北海道の、地方の介護・医療崩壊は既に始まっています」
同日午後に開かれた共同記者会見で、MHDと新会社社長を兼任する水戸康智氏は道内の介護・医療現場に対する強い危機感を露わにした。
もとよりの担い手不足や診療報酬改定が3年に一度、といった構造的問題に加え、先の見えない物価高騰が続き、地方ではベッドが満床、つまりその地域で必要とされている施設であっても物価高騰や職員の確保ができず、収支が悪化し、事業の継続ができない状況が増えているという。
MHDはこれまでも友好的M&Aを通じた地方の事業所の取得を行っており、現在グループ10社、道内19市町村で事業を展開している、道内でも屈指の大手だ。
一方の北洋銀行は、人口減少による地方マーケットの縮小、後継者不在による事業継続断念など地域経済の急速な変化について、業界単位での再編や構造転換が必要と判断。昨年12月に設立した子会社「北海道マザーインベストメント」を通じ、さまざまな業界ごとに存在する道内の“中核企業”と持ち株会社を設立した上で、業界再編を金融機関として後押しする、全国的にも例のない新たな試みを始めた。
それが6月29日に組成した「北海道マザーファンド(北海道マザー1号投資事業有限責任組合)」で、東京都の事業再生・承継コンサル「ロングブラックパートナーズ」とともに計50億円を出資。その第1号の投資先として、MHDを選定したものだ。
同行頭取の津山博恒氏は会見で「(MHDは)介護事業で多くのノウハウを持っている。The Oneが(他事業者の)相談窓口となり、北海道に特化した金融機関のわれわれとMHDが一緒に強みを活かすことで、道内各地で介護事業が維持できるようにしていきたい」と語った。
水戸氏も「道内は都市間の距離があるが、われわれの道内拠点は増えており、さらにどこかの施設が増えても、そこをサポートする施設が各地に存在する。つまりドミナント展開ができるベースがあるということ。ボリューム(規模の利益)も、一括仕入れや施設内での介護サービスのシステム共通化をすでに行っているので、その質を確保できる。外国人材の教育についても、専用の施設を持っているので、最小限のコストで可能だ」と説明する。
The Oneは第1号のM&Aとして「TMらいふサポート」(帯広市)の全株式を7月1日付けで取得。「北洋銀行さんが参画することの安心感は大きく、今回のスキームを説明すると、すぐに(事業承継に)ご快諾いただいた」(水戸氏)という。現時点でほかにも2件、M&Aの準備を進めているとする。
その上で水戸氏は「われわれの『MOE』と北洋銀行さんの『NORTH』を組み合わせた上で、介護(Care)で先進的な一番の取組を目指すという『The One』という社名にした。この取組での目標ということではないが、北海道の介護を下支えする責任を果たすには、将来的に(MOEHD全体の)売上高で200億円規模が必要という覚悟はある」として、業界再編に向けた決意を語った。
なお北海道マザーファンドでは介護事業のほか、印刷業界、食品製造業界などほかの業種についても並行して出資先の選定を進めているとする。
津山氏は「(ファンドの出口戦略としては)出資した各企業が3~5年後にその分の株式を買い取ってもらう形を想定している。(道内の)他の金融機関と連携も、発展形としてはあってもいいのではないか」としている。


