【無料公開】ユナイテッド航空の新千歳―サンフランシスコ便開設の報にすかさず…「本道初のアメリカ本土直行定期便」を“自分の手柄”にする鈴木直道知事の“厚顔無恥”

5月15日に鈴木直道知事が行った会見の模様(北海道公式YouTubeチャンネルより)

 5月14日、大手航空会社・ユナイテッド航空(UA)は新千歳空港と、アメリカ西海岸のサンフランシスコを結ぶ直行便を開設すると本国のWebサイトで発表した。今年12月11日から来年3月までの間、ボーイング787-9型機を使用し、毎週3便を運航するという。アメリカ本土と本道を直接往来する定期便の開設は初めてのことだ。

 18日には同社の日本支社、そして新千歳空港など道内7空港を運営する北海道エアポート(HAP)も直行便開設を発表。社長の山崎雅生氏は、路線定着や通年運航に向けた観光需要創出に取り組む、などと意気込みを語った。

 航空業界関係者はこう明かす。

「昨年12月、UAからHAPに対して新千歳空港への就航を検討している旨の連絡があったそうです。同時期には(同じ大手航空会社の)エア・カナダが、新千歳―バンクーバー便を開設する検討を進めていました。両社は航空会社の世界的な連合組織『スターアライアンス』のメンバーですが、北米路線をエア・カナダに独占されることを嫌がったのかもしれません。いずれにしろHAPは大歓迎ですから、水面下で就航に向けたサポート内容をUAと調整したようです。一時期は中東情勢の悪化もあって検討は停滞していましたが、先週になってUA側が開設に踏み切り、リリースしたのが5月14日でした」

 さて、この一報に早速反応したのが鈴木直道知事。翌15日午後に行った定例記者会見ではこう話した。

「長年、本道と北米を結ぶ路線の誘致活動を続けてきたところ。昨年10月には道幹部と千歳市が本社を訪問させていただいた。また本年2月にはジョージ・グラス駐日米国特命全権大使がお越しになった時、北海道グローバル戦略など、道の各種計画において、アメリカ本土との直行便誘致、観光プロモーションなど、重点的なターゲットとして、米国を取り込んでいくのだということで、私からも直接大使に協力を求めたものでもありました」

 要するに道幹部や自身の要請活動が奏功した、と言っているのだが、前出関係者はこう言って苦笑いする。

「本社を訪問したとか、駐米大使に会ってお願いしたとか。“お願い”でエアラインが開設されるなら、北海道にはとっくに北米路線は就航しているでしょう。アメリカ政府、企業に強固なパイプを持っている伊藤義郎さんが何十年もお願いしてきても開設されなかったのだから」

 伊藤組土建名誉会長の伊藤氏は、本道とアメリカにおけるビジネス、親善両面での交流に尽力し、2023年末に亡くなるまで北海道日米協会の会長を務め「国防総省にフリーパスで入れる」と言われた大人物。米軍高官がお忍びで伊藤氏の自宅に宿泊し、その死去の際には懇意にしていた元駐日アメリカ大使が個人的にお悔やみを送った。道が数年に一度行っている、ユナイテッドはじめ北米の航空会社への訪問も、そもそもは伊藤氏のパイプが元になっているが、その程度のことで路線が開設されるわけもない。

 一方のHAPは、昨年6月に元国交省OBの山崎氏が社長へ就任して以来、国際線の拡充を全社あげて取り組んできた。「航空会社からの国際線就航を断らない」という方針まで掲げ、路線誘致の部署にありとあらゆる国の就航データの分析を指示してきた。エア・カナダとの折衝にあたってはコンサルティング会社へ委託して直行便就航時の誘発率(乗り継ぎが不要になる利便性によって新規に創出される航空需要の割合)や来道客数の推計値といったデータも持参した。こうした話は月刊財界さっぽろ2026年3月号と本サイトにて報じた通りだ。

 知事の振る舞いにくわしい道政番記者は「実際に汗をかいたHAPには一言も触れないのが、いかにも知事“らしい”。そんなことだから道もトンチンカンな動きばかり。2期目の選挙前には半導体製造のラピダスが北海道にやってきたが、実際に誘致で頑張った千歳市が“大人”の対応で知事に手柄を譲っただけ。当初に比べて自身の支持率が下がり、友党だった公明党・創価学会が自身に協力するかは不透明。そんな中でまたぞろ同じような手口で“手柄”を誇示したところで、騙される道民は確実に減っている。知事は件の会見で『北海道経済の活性化につながる』と期待していたが、口だけではなく自身が直行便に乗りまくってPRする、くらいのことはすべきだ」と呆れるように言うのだった。

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