〈札幌ドーム社長人事〉職員の給与削減の大ナタ?新体制はいばら道

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株式会社札幌ドームが大和ハウスプレミストドームを運営している

 札幌ドームの社長交代はあまりに突然のことだった。阿部新体制では札幌市も関与を強め、厳しい経営にメスを入れる?

 社長交代以外にも、札幌ドームの役員人事が関係者の間で話題になった。

 札幌市の管財部長だった北川憲司氏がスポーツ局の担当局長職に昇格し、4月1日付けでドームに派遣。6月の株主総会を経て、役付取締役に就任する予定だ。

 ドームでは既に市の出向組である藤部安典氏が常務職に就いている。

「市役所組の常勤役員が2人体制となるのは初めてではないか」(市役所関係者)

 社長人事では「市役所、外郭団体など全体の人事を担当していた副市長(当時)の町田隆敏さんが阿部さんを口説いた。町田さんは『引き受けてもらったからには、自分もドームに携わらなくては』と周囲に漏らしていた。そのため、相談役への就任が取り沙汰されている」(市役所筋)

 ファイターズが去って以降、札幌ドームの経営が厳しいのは周知の通り。阿部新体制では、既述のように市の関与がより強まることが予想される。「財政面の見直しを内部から着手していくのは間違いないだろう」(市役所関係者)

 ドーム周辺では2つの新施設の建設計画が進む。ドーム敷地内の新月寒体育館と北海道立産業共進会場(月寒グリーンドーム)跡地の新アクセスサッポロだ。市は水面下で、ドームとそれら新施設との一体運営化の可能性を探っているとされる。そのため、株式会社札幌ドームの解散説もくすぶっている。

 札幌ドームからファイターズが去った初年度(24年3月期)決算は6億5100万円の大幅赤字だった。市が2月26日に公表した25年3月期の収支見通しは純損益2400万円で、2期ぶりに黒字になるとした。

 黒字化予想はネーミングライツが決まったことも一因だが、本来はドームが負担する経費を市のスポーツ振興基金から補助金として充当していることも大きい。同基金はドームの過去の利益を積み立てたものだ。

 市議会関係者は「秋元克広市長は記者会見などで、『経営は厳しいが、ドームに税金は投入しない』と口にしているが、市は別の形で手厚い財政支援をしている。これは税金投入と同じではないか」と語る。

 いずれにしろ、今後の経営もいばら道だ。

「阿部さんはアイデアマンで旅行業に従事していたので外への発信がうまい。そうした実務的な役割が期待されている」(経済人)

 経営の見直し、経費圧縮の施策としては、職員給与の削減があげられる。

「ドーム職員の給与は全体的に高いことで知られている。基本給は出資団体の札幌市職員と基本的に同じ。市はこれまでに市職員の手当の見直しなどを断行してきたが、ドームはそれに準じた削減をしてこなかった。そのため、市職員よりも基本給が高い。賞与は年2回で年間3・5カ月分ほど。業績が良ければ、黒字幅に応じて、プラスで1・5~2カ月分が上乗される。業績手当分は赤字になってから支給されていない」(ドーム関係者)

 ドームではファイターズが去って以降、若手を中心に職員の退職が目立つ。ピーク時は70人以上いたものの、今は50人程度だ。

 市では19年に5カ年収支計画を作成。23年度から27年度までの収支見通しをシミュレーションした。

 それによると、定年退職や、新卒採用を控えることで、25年まで15人程度の職員が辞めることを想定。これにより、一定の人件費を抑えられるとしていた。しかし実際は20~30人ほどが退職し、想定以上に圧縮されているという。

 山川広行社長は昨年4月ごろ、経営の見直しについて、職員に対し「基本給に手を付けるは最後の最後だ。自分がいるうちは下げない」と語ったとされる。

「逆説的に言うと、新体制になることで給与削減に着手するとなっても不思議ではない。職員からは『給与が高いからまだ辞めない』との声が漏れ伝わってくる。また、ドームの職員数が多すぎるとの意見もある。つまり、給与削減に踏み切ることは大きな人件費圧縮につながる」(事情通)

 これに対して、札幌ドームは「継続して経営安定化に向けた経費削減に取り組んでおりますが、これまでどおり職員の給与を削減しないという方針に変わりはございません」とコメントする。   

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