【不定期コラム・編集長のつぶやき】第2回・ウソ、大げさ、まぎらわしい

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「ウソ・大げさ・まぎらわしい」

JARO(日本広告審査機構)のCMで有名なキャッチコピーです。誇大広告への警鐘ですが、雑誌の見出し(タイトル)を付ける際にも、とても重要な視点です。

 雑誌の世界、「見出しが命」と言われます。それには理由があります。自宅に毎朝配達してくれる新聞と異なり、実際にご購入いただくためにはいくつかの行程を踏まなければなりません。

 まず、新聞広告やネットなどで見出しをみて、気になる中身があれば書店、コンビニなどに足を運びます。興味がある記事がなければ、その時点で終了です。以前、週刊誌のデスクからこんな話を聞きました。

「読者は気になる見出しが3本あれば、雑誌を手に取ってみたいと思う」と。

 週刊誌が毎号、ワイド特集を展開する大きな理由です。

 実際に店舗で掲載ページに目を通しますが、このまま立ち読みで終わる可能性もあります。さらに、他の記事も含めて840円(税込み、弊誌の場合)を払うに値すれば、ようやくご購入いただけます。1冊をお買い求めいただけることがいかに尊いことか。われわれ作り手側も、身に染みて感じております。

 見出しに「ウソ」はあってはならないことですが、「まぎらわしい」には注意を払いながら、インパクト、目を引くように「大げさ」になることもあります。

 弊誌では最初、記者自身が執筆する記事に見出しをつけます。月末の編集会議に提出し、部員で議論しながら記事1本ずつ付けていきます。私が入社した頃、先輩記者から「見出しは短い方が素晴らしい」と教わりました。現状、弊誌の見出しは原則20文字以内に収まっているはずです。

 見出しで記事の中身をすべてを明らかにするのか。それとも中身をにおわせて、本文を読んでいただくのか――毎月、頭をひねります。もう編集長になり10年になりますが、見出しの付け方の下手さに自暴自棄になることさえあります。

 ところが、最近のネットニュースなどの見出しは30文字を超え、40文字近い記事も見受けられます。もはや、「見出し」というか記事の「説明」「要約」です。SNS上では、キーワードで引っかからなければ記事にたどりついてもらえない。そのため、多くの文字を並べるため、長くなる傾向があるそうです。紙の雑誌とは、見出しの付け方が根本的に違います。弊誌もネット展開をおこなっていますが、私の頭が追いついていないのが現状です。

 弊社ではスマホなどで読めるデジタル版の販売やニュースサイト「財さつJP」も運営しています。お近くに書店やコンビニがない方がいらっしゃいましたら、ぜひ、こちらもご活用ください。

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