【不定期コラム・編集長のつぶやき】第1回・右トップ、左トップ
いつも月刊誌「財界さっぽろ」をご愛読いただきありがとうございます。ジャンル問わず、雑誌の編集者にとって1月号はもっとも力が入る号です。弊誌もしかり、1月号だけ「新年号」と呼ぶ媒体は少なくありません。総ページ数も他号と比べてダントツ。弊誌は346ページの特大号となります。普段より重く持ち運びでご不便をおかけしますが、発売日の12月14日にぜひ、お手にとっていただければありがたいです。
この不定期コラムでは雑誌づくりや取材現場、掲載記事の舞台裏を伝えられればと考えています。少しでも弊誌を含めた雑誌に興味をお持ちいただければ幸いです。
ところで、「右トップ」「左トップ」という言葉を聞いたことがありますでしょうか。週刊誌も同じですが、新聞広告や中吊り広告の両サイドの記事を指します。弊誌では発売前日に北海道新聞、読売新聞など、公共交通機関では札幌市営地下鉄や市電にも掲示しています。内容はときにスクープ、大きな特集企画のケースもあり、一般的に右は硬派、左は軟派の記事になります。どの見出しを選ぶのか。最近のはやり言葉にたとえれば、編集長の毎月の〝推し活〟です。たとえば、今回の新年号でいえば、右トップが北海道観光機構の特ダネ、左トップが毎年恒例の162の経営者、企業が登場する新春企画です。
若い頃、先輩記者からよく言われました。
「トップ記事を書いた記者がその月で一番偉いんだ」と。
確かに記者という仕事は、年齢、性別、社歴は関係ありません。ネタがすべてです。毎号、みな同じ土俵でネタを追いかけ、入社1年目の記者だってトップを飾るという、大仕事をやってのけられる。自分自身も入社2年目に初めて書いたトップ記事は一生忘れられません。たとえ記事化にならなくても、がむしゃらに特ダネを追いかけている姿は大いに評価できますし、必ずその経験は将来の取材現場で生かされます。
いまや、スクープでは雑誌は売れないと言われます。確かにそういう見方があるかもしれません。私は古い人間ですが、いまでもスクープは〝雑誌の華〟だと思っています。本が店頭に並んだ後、どんな反響があるのか。あの何とも言えない高揚感とその裏腹でもある緊張感は、なかなか言葉で表現できません。この仕事の醍醐味だと思っています。 これは報道系雑誌だけではなく、新聞、テレビの報道記者にも言えますが、「誰よりも先に世の中に報じたい、伝えたい」という気概がなければ、記者という仕事は長続きしないでしょう。私は最終的には面白さ、やりがいを見いだせなくなると思っています。