【無料公開・独自】「最終的には自分で決めました」立憲民主党道連、衆院比例北海道ブロックで女性優遇を「2人」にした逢坂誠二(道連代表)の胸先三寸

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立憲民主党道連代表の逢坂誠二氏

「えっ、逢坂さんが自分で決めたの?」

 10月14日。翌日に衆院選本番を控えた立憲民主党のある道内選挙区候補は、そう言って目を丸くした。

 立憲道連は前日の13日、衆院選道内全12選挙区のうち、女性候補2人を比例道ブロックの重複立候補名簿で順位を上位に優遇すると決定。5区の池田真紀氏と7区の篠田奈保子氏の比例順位を1位にすることを決めた。

 同日、函館市内で会見した道連代表の逢坂誠二氏は、優遇した理由について「女性登用の推進を念頭に、組織の基盤が弱く現職国会議員がいない」と説明。同日夜、自身のYouTubeチャンネルでもこの件に触れ「最終的には私自身が決めました」と語った。また、逢坂氏自身は比例重複立候補せず、小選挙区のみで戦うことも決めた。

 複数の関係者によれば、会見前日までに支持母体の連合北海道幹部が逢坂氏と交渉していたという。

 労組関係者は「連合としてはジェンダー平等推進計画を掲げ、連合本部、構成組織、単組、地方連合会のいずれもで女性割合の引き上げを目標にしている。衆院議員の割合を高めるのも同様の目標。その意味で交渉はしてきた。でも具体的にどこの選挙区を、とか何人優遇してほしい、とはこちらからは一切言っていない」と明かす。

 篠田氏が所属する7区総支部は道連に対し、かねて優遇を求める声を上げていた。池田氏の5区総支部も、解散直前の今月に入って同様の処遇を求めていた。それを踏まえ、逢坂氏が両区を優遇することに自分で決めた、ということだ。

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池田真紀氏
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篠田奈保子氏

 優遇については、財界さっぽろ本誌でも取り上げた通り2区の松木謙公氏が、選挙区内に基盤を築く上でバッジを足がかりにできるのでは、として道連の会合で同様に主張してきた。その当時は逢坂氏を始め、そうした意見に同調する声はなかった。その経過からすれば、逢坂氏は自身の意見を変えたということになる。

 5区関係者は「14年衆院選2区では野党分裂の選挙を戦い、16年5区補選では野党共闘のさきがけとなったが、無所属で出ざるを得ず不利を受けた。前回21年衆院選でも共産は選挙区からの出馬を取り下げなかった。昨年の知事選では誰もやりたがらない中で要請を受け出馬し汗をかいた。党に貢献してきた実蹟を評価するよう要請してきた」と話す。

 他方、ある選挙区の立憲関係者は「共産などとの共闘交渉と並行して検討してきたものだが、結果的にそちらは交渉が決裂した。内部の問題である比例優遇だけが着地したということ。ただ、女性候補は4区(大築紅葉氏)と11区(石川香織氏)を合わせて4人いる。12区だって現職国会議員は長らくおらず、道議会議員の候補擁立にも難航する有り様だ。さまざま理由はあろうが、検討の過程も示されないままでは、みんな腑に落ちないのは当たり前だろう」と苦言する。
 実際、ほかの区の候補者は比例優遇の過程について知らされていなかったと見られる。

 立憲道連幹部は「5区は道内の小選挙区で唯一の“裏金議員”である和田義明氏と直接対決する選挙区。これほど戦いやすいところもない。7区も前回のようにまた惜敗率が50%台にとどまるようなら優遇の意味がない。そもそも優遇は毎回ではなく、むしろ“最後のチャンス”だ。これで選挙の手が緩むようなら次はない」と語っている。

 財さつJPでは、来週10月22日から、衆院選北海道内全12選挙区&比例道ブロックの終盤情勢をお届けする予定です。本誌2024年8月号に掲載した各選挙区情勢には、主要候補を巡る選挙区内外を網羅した人物相関図も掲載。こちらもどうぞご参照ください。

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