【無料公開・速報】6年連続・4億円赤字計上の北海道コンサドーレ札幌に9億円増資の「救いの神」あらわる!

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コンサドーレ代表取締役ゼネラル・マネジャーの三上大勝氏

 4月26日、北海道コンサドーレ札幌の運営会社が定時株主総会を開催した。

 総会では第28期となる昨年2月1日から今年1月31日までの決算が報告された。売上高は昨年の36億534万円から5億円を上積みして過去最高の41億1145万円を計上。一方、チーム強化費18億5000万円を含む売上原価は39億9652万円となり、販売費と一般管理費を含めた営業損失は52億9832万円5億2983万円)、経常損失は47億500万円4億7500万円)、6年連続の赤字となる当期純損失4億1202万円となった。

 詳細を見ていくと、興行収入は前年度比1億4500万円増の7億7521万円。昨シーズンはリーグ・ルヴァンカップ合わせて21試合で30万1530人を動員し、注目試合などに合わせて価格を変動させる「ダイナミックプライシング」を導入したことも増収に寄与した。
 
 もっとも収入に占める割合が大きい広告料収入は19億3312万円で、新規スポンサー獲得などが効を奏し、昨年実績対比で約4億5000万円増加。グッズ販売などを含めた商品売上高は4億6734万円で、取締役も務める世界的デザイナー・相澤陽介氏のブランド力、昨年限りで現役を引退した小野伸二選手の関連グッズ売り上げなどが加わり、過去最高となった。

 Jリーグ配分金収入は3億5770万円で昨年比1億3000万円マイナス、移籍金収入などそのほかの売り上げは5億7809万円で前年1億3000万円減だった。

 なお、Jリーグの参加条件であるクラブライセンスは、3期連続の当期赤字か、債務超過になった場合取り消される。ただ23年1月期まではコロナ対応による緩和措置でそのルールの適用が見送られていた。24年1月期、つまり今シーズンから連続赤字のカウントが再開する。今シーズンから3年連続で赤字ならライセンスは取り消しとなる。

 総会後の会見で代表取締役ゼネラル・マネジャーの三上大勝氏は「トップチーム人件費はここ数年変わらない(18億5000万円)。その他のコスト増、たとえば燃料費や人件費高騰などが(赤字の)要因」と説明。

 これに対して「チームの運営管理費は飛行機移動などを含めどのクラブよりも状況は難しい。(主要業務の中で費用が)かかるものに全部かかっていたが、社員1人ひとりが収入とコストを自分で管理し、利益率を上げていくことが必要だ」として、すでに事業・経費の見直しに着手していることを明かした。

 その上で「自分の使命の中では、今後10年、20年とクラブを存続させることとそのための資本政策が一番重要だ」と強調した。

 その資本政策で、今年6月をメドに新規の大口出資者として「ゼラフットボール有限責任事業組合法人」に対する約9億円の第三者割当増資を実施することがわかった。

 同社は元DAZN(ダゾーン)のJリーグコンテンツ統括責任者、ディーン・サドラー氏などが設立。サドラー氏は1964年生まれ、ニュージーランド出身。ラグビーの東芝府中(現・東芝ブレイブルーパス東京)元プロ選手を経て引退後にマーケティングリサーチの会社を立ち上げ、14年からDAZNを運営する「パフォーム・グループ」へ入社。15年10月にDAZNへ移った。DAZNではJリーグチェアマン(当時)の村井満氏を海外の渡航先で待ち受けて口説き落とすなど、リーグとの現在に至る蜜月の立役者となり、23年に独立した。北海道大学への留学経験を持つなど、北海道との縁もある。

 コロナ以降、主要株主や親密スポンサーからの増資などのほか、短期の借り入れ等で財務面のやりくりをしてきたコンサドーレ。スポンサー関係者は「チーム強化費が18・5億円で据え置きの一方、選手はミシャ(ミハイロ・ペトロヴィッチ監督)のもとで成長を続けてきた。つまり選手の年俸など価値が上がっているのに対し、クラブの成長が追いついていないため、選手がクラブを離れざるを得ない」と指摘する。

 コンサは今回の総会に先立ち、2月28日の臨時株主総会で第三者割当株式の発行を決議している。広報担当者は「(着金予定の)6月中にもあらためて説明します」と話す。

 現在最下位のクラブにとって、サドラー氏の大型出資は文字通り「救いの神」となるか。

※販売費と一般管理費を含めた営業損失の数字に誤りがありました。ご迷惑をお掛けしましたことをお詫びするとともに、ここに訂正させていただきます。(2024年4月30日15時)

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