【無料公開・独自】情報公開請求でしぶしぶ作成の資料を元に?長谷川岳炎上に便乗する鈴木直道知事

記者会見で質問に答える鈴木直道北海道知事(2024年4月5日、北海道公式YouTubeチャンネルより)

 日替わりで炎上ネタが噴出する北海道選出参院議員・長谷川岳氏。鈴木直道北海道知事が4月5日の定例記者会見で、道に関係する報道内容について問われ回答した。問題発覚を受けて鈴木知事は調査したかのように話したが、その内容は財界さっぽろが2月末に行った情報公開請求のために作成した資料をもとにしたもの。道幹部、まして鈴木知事がもともと問題意識を持っていたものではない。

 5日の北海道新聞朝刊は、道幹部が2024年度予算の成立時、長谷川氏へ速やかに「お礼メール」を送信するよう、各部へ依頼していたことを報じた。同日15時30分に始まった鈴木直道知事の定例記者会見は、この特定の議員に対する組織的な対応、長谷川氏と道の関係性に質問が集中した。

 お礼メールについて知事は、前日の4日に初めて報告を受けたとした上で「全庁一斉に(メール送信の)対応を周知するのは適切ではなく改めるよう(庁内に)指示した」と説明した。

 また長谷川氏が威圧的な言動を道職員に取ってきたという問題については「(長谷川氏と)接点が多いと思われる幹部職員に、あらためてさまざまな確認を行った結果、言動を威圧的と受け止める職員が複数いた」と説明。その上で「国会議員と話す際、職員は委縮しがち。言葉遣いや対応は注意して当然」とした上で長谷川氏に「改めて申し入れをした」と、先週の会見に続いて〝苦言〟を呈したものの、実際にハラスメントにあたるかは明言を避けた。

 一方で知事は「(幹部への聞き取りで)出張についても確認し(23年度で)20回以上出張を行っていた職員もいた」と〝唐突に〟数字を出して言及したため、質問が集中。だがその後は「職務上必要な出張と確認できたため不適切な出張はない」「合理的な手法で面談を要請している」と、先週の会見と同じ回答を繰り返した。

 同日夜には総務部の担当者が道政記者クラブに対して補足説明を実施。出張の実態を調査したのは先週の3月28日以降で、調査対象は特別職1人、水産系、観光系、ゼロカーボンに関する幹部3人の4人。その結果、23年4月~24年3月の間に水産系幹部が20回、ゼロカーボン担当の幹部が25回、特別職が10回、観光系幹部は7回とした。なぜこの4人なのかについては「回数が多いと客観的に思われる」と説明した。

 実はこの4人については「尋常じゃない数の出張を重ねている」との事前情報から、今年2月下旬に本誌記者が情報公開請求を行っていた。時期の関係から「2022年4月~24年1月分」までを対象として申請したため、道の調査とは若干時期がずれているものの、本誌の請求に応じて出張実態の資料が作成されていたことは疑いようがない。

 鈴木知事は5日の会見で「幹部への聞き取りで出張についても確認した」と説明したが、主体的に動いて調査を指示したわけでも、“異常な出張実態”に気付いていたわけでもないのだ。

 道政番記者はこの経過を聞き「さも自主的に出張実態を調べたような口調だったが、まったく厚顔無恥もいいところだ」と憤る。

 別の道政関係者は「そもそも先週3月28日の会見でも今回でもそうだが、知事就任以来、予算要望や看板政策であるゼロカーボン北海道の推進役として世話になってきた長谷川氏が窮地に陥っている中、我先にと距離を置き、苦言まで呈している。誰が悪いかといえば長谷川氏だが、知事の振る舞いもいかがなものか」と呆れる。

 ちなみに情報公開の開示資料について、本誌記者は担当部署から当初「3月末までに資料を作成する」旨の連絡があったものの、資料が記者のもとに届いたのはこの会見と同じ4月5日の15時、つまり会見直前だった。担当者からは「異動時期のため作成が遅れている」旨の連絡こそあったが、会見内容や記者クラブへの補足説明を見る限り、それを鵜呑みにすることはできない。

©財界さっぽろ
道から届いた開示資料(画像を一部加工しています)

 開示された資料の詳細については、後日財さつJPにて先行公開するほか、4月15日発売の財界さっぽろ2024年5月号にて詳報する。

 また本誌公式X(Twitter)で告知した通り、本誌記者は4月4日午後、長谷川氏に単独インタビューを実施。カスハラ疑惑を始め数々の“やりすぎ”事案、自身が旗振り役として推し進める「グリーン/トランスフォーメーション(GX)」政策の展望など、90分にわたり語った内容についても掲載するので、乞うご期待。

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