【無料・配信限定】新日本プロレス棚橋弘至社長インタビュー・日本全国どことでも!コラボビジネス、何でもやります!!
発売中の「財界さっぽろ」3月号で大好評を博している棚橋弘至インタビュー「北海道、愛してま~す!」。惜しくも本誌に掲載できなかった内容を「財さつJP」限定で大公開!地方自治体や企業とのコラボ、プロレス業界の今後を棚橋社長が熱弁!
トップとして背中を見せていく
――11年にIWGP王座5度目の戴冠を果たしたとき、そこでもなお王者としてプロレス界を引っ張っていく、と決意を新たに宣言されていました。今改めて振り返っていかがでしょうか。
棚橋 : チャンピオン自身が所属選手の中で誰よりもプロモーションをして、誰よりも稼働して、なおかつしっかりと練習して体を作り、防衛を重ねていく。そうすれば、所属選手の誰もがどうやっても僕に追いつけないんですよ。
ですから棚橋を越えるためには、僕以上の行動力や活動が必要になる。越えたいなら駆け回って、練習してみろよと。つまりは選手全体の意識改革というか、底上げですよね。これだけやらないと新日本のトップにはなれないぞ、という。言葉に出して鼓舞することもできるんですけど、僕はそういうタイプではなかったので。〝背中を見せて〟というと格好良すぎますが・・・。これぐらいやってみろよという選手へのメッセージでした。
――その行動以降はどういった影響が?
棚橋 : プロモーションに関しては僕に声がかかることも多かったんですが、先輩の真壁選手や本間選手も地上波にたくさん出るようになりました。今は若い選手も徐々にプロモーションに回ってくれています。これは将来的に絶対彼らのためになる。そういったこともまた改めて伝えていきたいと思っています。
――新日本プロレスをもっともっと盛り上げていくという思いの中、実は15年頃「社長になりたい」とおっしゃっていたとか。
棚橋 : 実はあまり覚えていません(笑)。言っていたらしいですね。そこは言霊ということで言葉が先行していたのかもしれないし、周りがそういう意識で僕を見てくれていたのかもしれません。
日本全国で新日本プロレスを使ってほしい
――佐賀県・唐津市とコラボするなど、地方創生にも取り組まれていますね。
棚橋 : 地方都市とのコラボは新日本プロレスにとっても、良い経験となりました。職員の方に熱心なプロレスファンの方がいて、その方をきっかけに始まった取り組みです。選手が出演するコラボ動画を配信するなど協力させていただき、唐津市での大会は2年連続超満員になりました。新日本プロレスの新たなビジネスモデルとして結果を出すことができたので、第2・第3の唐津を目指して、声をかけていただければ選手は本当に全力でやります。地方都市とのコラボを可能にしているのが、新日本プロレスの巡業システム。選手が必ずその土地に行って試合ができる。日本全国の地方自治体の皆さんに、是非、新日本プロレスを使っていただきたいと考えています。
選手はそれぞれSNSのアカウントも持っていて、一人一人が発信できる強みがあります。マイノリティであるがゆえ、もっと会場に来てほしい、知ってほしいという気持ちを皆が持っている。コラボしていただくことで選手からの発信、新日本プロレス運営本体からの発信でかなりのインプレッションを獲得できます。
――企業とのコラボも積極的に行っていますね。
棚橋 : そちらも売り上げ含め非常に良い数字になっているという報告を受けています。棚橋と、新日本プロレスとのお仕事を決めていただいた時点で、皆さんすでに勝利をつかんでいるんです!
そしてプロレスファンの特性として、応援してくれる企業さんに対してファンの皆さんも喜んでくださる。「選手が宣伝しているなら」と、実際の購買や行動に繋げてくれる。
特に選択肢の多い日用品であれば「新日本とコラボしているこっちを買おう」となる。そういうエネルギーも含めて、プロレスは今、大いに魅力的なコンテンツになっていると思います。
――グッズ販売も精力的に展開されていらっしゃいます。
棚橋 : そうですね。「推しは推せる時に推せ」という言葉があるように、〝推し〟の選手が勧めている商品は買わざるを得ないですから(笑)。なかなか会場でグッズを買えないという方は「闘魂SHOP」などを利用していただきたいと思います。
――SNSの普及によって、選手の見せ方も変わってきているのでしょうか。
棚橋 : 使い方はそれぞれですね。僕は試合に関して勝った負けた、悔しいうれしい、といった内容は書きません。一方新世代の選手である海野翔太なんかは、ファンとがっぷり組み合って、自分の意見をちゃんとXで発信しています。その手法は新しいと思いますし、コンプライアンスに触れなければ使い方は自由。それがひいては選手の個性になっていくという可能性もあります。
プロレスは時代の写し鏡だと昔はよく言われましたけど、まさにSNSの普及によってプロレスの宣伝のあり方も変わってきますし、ブログしかなかった時代から力を入れてやってきて本当によかったなと思いますね。
――SNSでどう表現するか、もちろんリングの上でもどう表現するかも含めて、それは選手の皆さんそれぞれの考え方や個性、努力であると。
棚橋 : そこはもう任せていますね。大会の告知だけでもいいですし、内藤哲也なんかは会場の様子や対戦カードを大会前に必ずポストしている。これをうまく利用してトップに上がっていくケースも出てくるかもしれないですし、プロレス界全体を巻き込むか、またはプロレス以外の層にも発信するか。これだけの所属選手がいるので、棲み分けみたいなのもできてくるんじゃないかなと思いますね。
――音楽に詳しい方、アニメに詳しい方、食事やお酒に詳しい方など、内容は多岐にわたります。
棚橋 : 個性は本当にそれぞれ。そういう得意分野にアプローチすることによって、違う分野のファンの方にも気づいてもらって、プロレスに興味を持ってもらう。そういった部分も期待できます。
4月に台湾大会、アジア圏展開が棚橋路線
――東京ドームでのビッグマッチや各地での試合開催、SNS更新など、たいへんお忙しいようにお見受けします。どういったタイムスケジュールで社長業と選手業を両立されているんでしょうか。
棚橋 : まず、出社が10時。定時の18時までは基本的に在席しています。こういった取材のお仕事もこなしつつ、夜は練習ですね。試合の時は午前中だけ出社とか、15時ぐらいまで在席した後に後楽園ホールへ向かう、というパターンです。地方に出ている時は日本全国を回りながら練習をして試合をする、といった感じですね。
――トレーニング、練習は基本毎日されているのでしょうか?
棚橋 : 年間300ワークアウトを目標にしています。計算すると月に25回、週に6回。どうしても仕事で練習時間を割けない日もあるので、そういう時は時間の取れる日に朝と夜に行います。ワークアウト用語で「ダブルスプレッド」と言うんですが、そのペースでもう10年ぐらいですかね。年間300は達成しているはずです。
――その間に公式サイトの日記やコラム、ブログの更新、各種SNS、さらに外部連載の執筆もやっていらっしゃる。タイムマネジメントはどのように?
棚橋 : シンプルに「寝ない」ぐらいですかね。ショートスリーパーなんです。昔は5時間くらいでしたが、今は3、4時間程。だいたい12時ぐらいに布団に入るんですが、朝4時ぐらいにはもう1回目の朝ごはんを食べる。僕は朝ごはん2回制なんです(笑)。
――業界全体の動きとしては、昨年末に「日本プロレスリング連盟」が発足しました。
棚橋 : 僕が夢中になって見ていた時代のプロレスは新日本があって、全日本があって、三銃士がいて四天王がいた。どっちが強いんだ、ということを夢想して楽しんでいましたけど、今は新日の一強時代が長い。
でもプロレス界全体が盛り上がっていくことが僕の希望なので、選手の団体間交流ですとか、そういった部分での協力関係がこの連盟の一番根底にあるんじゃないかなと思います。
国内はそういった連携と、それから海外に関しては英語圏、アメリカ・イギリスでの大会も続けていきながら、アジア圏も展開していきたい。
今年に入ってからは「アジア太平洋プロレス連盟」も発足しました。韓国や中国、東南アジアの地域は同じアジア圏としての親和性や見やすさがあると思います。台湾での大会も4月に予定していますが、コロナ前には何度もお邪魔していたんですよ。
向こうのローカルテレビでは新日本の試合がかなり放送されているみたいで、新日本プロレスワールドの登録者数も上位グループとして日本、アメリカ、カナダ、イギリスがあり、それに続くグループとして台湾やタイが入ってくる。今年は英語圏の興行も維持しながら、アジアへの進出というのが棚橋新路線の軸になってくると思います。