【過去記事・無料公開】30区画以上が閉店ガラガラ“ゴーストタウン化”の千歳・レラ
オープンから15年――。かつて大きなにぎわいを見せていた千歳アウトレットモール・レラ。競合施設の出現や新型コロナの影響で苦境に立たされている。(21年3月現在)
「この間、レラに行ったら、休日にも関わらず買い物客が全然いなくてびっくりした」と知人が本誌記者にポツリと漏らした。
レラとは、千歳市に所在する大型商業施設。2005年に道内最大規模のアウトレットモールとして誕生した。札幌や近郊の市民はもちろんのこと、新千歳空港から近いため、国内外の旅行者も多く訪れていた。19年7月には、人気ロックバンド「GLAY」がデビュー25周年を記念したシークレットライブを開催したこともある。
本誌記者がレラに行ったのは、2月下旬の月曜日。昨今のコロナ禍のあおりを食らっているのは容易に想像できたが、実際に足を運んでみると、本当に買い物客の姿がほとんどなかった。
1時間ほどの滞在で見かけたのはわずか5、6組程度。
そして、目に入ってくるのは空きテナントの多さ。窓ガラスの張り紙には「Coming Soon」の文字が書かれている。それもそのはず、レラのHPから館内マップを確認すると、3月8日現在で30区画以上が閉店しているのだ。割合でいうと4分の1にあたる。
あるショップの店員は「日が沈むとゴーストタウンみたいです」と渋い表情。
別の店のスタッフも「ここ数年は完全にインバウンド頼みだった。こうなっては収益は見込めない。集客力のあるテナントも続々と撤退している」と肩を落とす。
一体、いつからこんな状況になっているのか。運営元のジョーンズラングラサールに質問状を送ったものの、期日までに回答は得られなかった。
ショッピングモール事情に詳しい北星学園大学の鈴木克典教授はこう分析する。「高速道路からのアクセスも良く、オープン当初は札幌からの客も多かった。ところが、北広島市に三井アウトレットパークが完成したことで状況が一変。客足を大きく奪われてしまったと推測できます。それでも、近年は外国人旅行客が増加。出国時間ギリギリまで買い物ができると、人気のスポットになっていました」
しかし、新型コロナが流行。頼みの綱だったインバウンド客は、パッタリと姿を消してしまった。
鈴木教授は「地元客を対象とした割引制度などを設けているが、それだけでは厳しい。例えば、回遊性を高める企画や、高齢者や障がい者向けのテナントを入店させるなど、ターゲットを限定させるのも一案。近郊のショッピングセンターと差別化を図る必要があります。この状況が続くようでは、運営体制そのものを大幅に見直さなければならないでしょう」と話す。