FRUITS ZIPPER、きゃりーぱみゅぱみゅ所属事務所「アソビシステム」が北海道拠点設立!中川悠介社長が語った道内戦略

FRUITS ZIPPER

「アソビシステム」は原宿を拠点に日本のポップカルチャーを世界へ発信してきた芸能事務所だ。今春、札幌に拠点を設立すると、「北海道在住者限定オーディション」も始動。地方創生を掲げる同社代表の中川悠介氏にインタビューを行った。

「オトナブルー」というワードを聞いてピンとこない人は今年の流行に乗れていないかもしれない。これはアーティスト「新しい学校のリーダーズ」の楽曲で、首を左右に動かす〝首振りダンス〟が〝大バズり〟している。
 TikTokでの総再生回数は31億回を突破し、6月下旬に行われた「TikTok上半期トレンド大賞2023」でも大賞を受賞したほどだ。
 同アーティストが所属しているのが「アソビシステム」(東京)という芸能事務所だ。07年に設立し、原宿を拠点に日本のポップカルチャーを世界へ発信してきた。
 国内外から人気を誇るアーティスト「きゃりーぱみゅぱみゅ」やPerfumeのプロデューサーとしても有名な「中田ヤスタカ」が所属する事務所としても知られている。
 同社は、今年3月に北海道営業所を設立。地元企業や団体と連携しながら、道内のエンターテインメント活性化を目指すという。同時に「北海道オーディション」も実施。現在は選考の真っただ中だ。
 これからの展望について代表の中川悠介氏を直撃した。以下、インタビュー。

©財界さっぽろ
アソビシステム代表の 中川悠介氏

苫小牧ミライフェストを日本を代表するフェスに

――道営業所を設立した経緯を教えてください。

中川 : 一昔前はオーディションを受けるために、東京へわざわざ行き、合格後も都内に住まなければいけないケースが多かったですよね。
 しかし、コロナ禍でリモートワークが普及したことで、住んでいる場所を気にせず、芸能活動ができるようにもなりました。
 時代が変わったことで、地方の可能性を感じました。アソビシステムはコロナ禍の21年に沖縄支社を立ちあげました。その流れがあり、北海道でもチャレンジしたいという気持ちが強くなりました。

 ――もともと、北海道とつながりはありましたか。

中川 : 昨年は、札幌で行われた都市型イベント「No Maps」や苫小牧の音楽フェス「苫小牧MIRAI FEST 2022(ミライフェスト)」に参画させていただきました。

 ――道内の印象は。

中川 : 身近なところに自然があり、魅力的なロケーションが無数にあります。これが絶対的な強みであり武器だと思いました。ミライフェストの会場は苫小牧埠頭です。きれいな海が広がっていて、本当にすてきなイベントだと思いました。

 ――なぜ、苫小牧のフェスに携わることに。

中川 : きゃりーぱみゅぱみゅが苫小牧の観光スポットを紹介するという動画を撮影したことがありました。そのご縁から企画制作を行わせていただきました。
 地元のみなさんのイベントに対する気持ちが本当に熱いですね。みなさんアイデアも持っているので、私たちはそれを具現化するお手伝いをしているという感覚です。日本を代表するようなイベントになれるよう、共に頑張っています。

 ――同イベントの魅力は。

中川 : ミライフェストはまち全体を巻き込んだ複合型エンターテインメントイベントです。音楽以外の部分でも楽しめる所が新しいなと思っています
 入場無料ゾーンでは、ミニステージ、フード・ピクニックエリアなどが充実しています。今年は9月2日から2日間開催します。

 ――実施中のオーディションは道内6カ所で募集しました。

中川 : 想定よりも応募が多く、エンタメに興味を持っている人がこんなにたくさんいたのかと驚きました。選考は最終段階まで進んでおり、参加者はレッスン審査を受けている状況です。

 ――アーティスト、モデル、タレント、アイドル、インフルエンサーなど幅広い分野で募集をしています。

中川 : バランスを取らなければいけませんが、いろいろな可能性を模索しています。また、年齢の若い子たちはレッスンで適正を見いだしたり、一緒に方向性を見つけていきたいです。
 以前からお付き合いがあった、札幌のモデル・タレント事務所「ドンクモデル」とも業務提携をさせていただきました。レッスンや合格者のサポートなどを一緒に行っていく予定です。

芸能事務所の垣根を越えて地方創生

 ――このほかに考えている事業展開は。

中川 : 業展開というよりは行政や企業とタッグを組み、地域活性化を図る取り組みを積極的にしていきたいです。弊社のフォーマットではなく、地元の方々と新しい形を作りだしていきたいと思っています。

 ――社としては地方創生を掲げています。

きゃりーぱみゅぱみゅ

中川 : 昨年はきゃりーぱみゅぱみゅの全国ツアーと連動し、「LOCAL POWER JAPAN project」行いました。
 公演を行うまちの企業とコラボし、限定商品やTシャツを制作して地域の魅力を発信する取り組みです。
 道内では2公演行ったため、札幌は、しめパフェで有名な「佐藤」が大丸札幌店で展開するピスタチオ菓子専門店「佐藤堂」、函館では老舗菓子店の「千秋庵総本家」とコラボしました。

 ――中川氏が代表を務め、日本の観光・文化を世界へ発信するプロジェト「Channel47」も今年5月に本格始動しました。

中川 : これは弊社をはじめ「LDH JAPAN」、「ツインプラネット」などの芸能事務所同士がタッグを組み、エンタメ×地方創生をテーマに日本文化を発信していくものです。
 私は1つの会社ですべてのことをやる時代はもう終わったと思っています。いろんな人たちがアイデアを出しながら日本のエンタメを盛り上げていくべきだと感じています。
 切磋琢磨することで、化学反応が起き、企業の成長速度も上がっていくと思います。
 基幹事業の1つとしては、温泉文化のユネスコ無形文化遺産登録を目指す「Welcome to ONSEN」プロジェクトがスタートしています。
 最近は、「『温泉文化』ユネスコ無形文化遺産登録を応援する知事の会」にも参画している群馬県の山本一太知事を招き、カンファレンスを実施しました。
「新しい学校のリーダーズ」が伊香保温泉(群馬)とコラボし、イベントを行ったこともあります。
 北海道も全国有数の温泉地です。ご縁があれば、地域のみなさまと協力し、プロモーション活動などができればと思っています。

とっきにくい芸能事務所のイメージ

新しい学校のリーダーズ

 ――新しい学校のリーダーズといえば「オトナブルー」がTikTokで注目を集めています。これは狙っていましたか。

中川 : 楽曲自体は20年に配信限定シングルとしてリリースされた曲です。今年に入って話題になるとは思いませんでした。こういうことは予知できるものではありません。ただ、売れるための仕掛け作りは常に行っていました。

 ――ほかにもアイドル「FRUITS ZIPPER」の楽曲「わたしの一番かわいいところ」も総再生数8億回を突破する人気ぶりです。

中川 : 確実にバズるという方法はありませんが、この事象に関しては最初からSNSマーケティングをしっかりやっていた成果の現れだと思います。
 グループは昨年結成したばかりですが、ありがたいことに9月から始まる全国ツアーは全公演完売。同月13日に「札幌ペニーレーン24」でもライブがあります。お越しになる道民のファンの方々には楽しんでいただきたいです。

 ――やはりSNSマーケティングや発信力は強みの一つですか。

中川 : そうですね。こういったノウハウを生かして道内各地の魅力も発信していきたいです。
 また、芸能事務所というのは、とっつきにくいイメージがあると思います。アソビシステムでは、自社コンテンツを活用し、行政や企業との共同事業に取り組んでいます。身近な存在に感じていただけたらうれしいです。これから、北海道を大切な場所にしていきたいです。

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