鈴久名建設【業種別景況と企業動向】
創業100年に向け世代交代を推進。業界の発展にも尽力
「鈴久名建設」はとび・土工工事業一式を担い、今年で創業97年目を迎えた老舗企業だ。大林組(本社・東京都港区)の道内案件は、70年以上にわたりメーンで一次下請けを務めるなど、業界では確固たる地位を築いている。
北海道ボールパーク(北広島市)やトマムリゾート(占冠村)など、道内のランドマークとなる物件の建設を数多く手掛けているのが特徴。現在も5万平方㍍もの大型物流倉庫(恵庭市)のコンクリート工事や札幌市教育文化会館(札幌市)の改修工事など、複数の大型物件を同時進行させている。
堅調な業績が続いているが、現状に満足することなく地歩も固める。注力しているのが創業100年の節目を見据えた組織の世代交代だ。
6月1日からは新たに37歳の鈴久名将社長が就任。体制の若返りを図った。鈴久名社長は、2017年に道外大手ゼネコンから同社の常務として入社。道内における大林組協力会社の次期後継者で構成される「大林組札幌林青会」の会長も兼務しており、業界に新風を吹き込んでいる。
また、近年は大林組と共同で行う若手人材の業界定着や育成を目的とした「NGFプロジェクト」を推進している。同プロジェクトは、若手を中心に現場の環境や働き方について話し合い、改善して経験を積ませるもの。元請と連携することで、現場で実践的に若手職長を育成する試みだ。
鈴久名社長は「昨年12月からは、静岡県でAI技術などを駆使した実験都市の建設にも参画していますが、現場には若手しか派遣していません。苦労も多いと思いますが、頼れる人がいない環境で一皮剥けてほしいです」と話す。
さらに若手従業員には、埼玉県の「大林組林友会教育訓練校」で座学や実践講習を行い経験を積ませる。VRやコンピューター上に現実と同じ建物の立体モデルを構築するBIMを駆使して、足を運ぶことなく現場をイメージできる環境も整えている。
「今秋には、恵庭市で現役高校生を対象とした現場見学会も行う予定です。業界発展のためには、若い人材の確保、育成と今までの職人像を変えていくことが必須です。これを推進することが私の責務です」と鈴久名社長。