【無料公開】恵庭市議会ハラスメント騒動で調査委設置を公開協議 恫喝“傍観”議長(野沢宏紀氏)の発言に傍聴者から失笑

©財界さっぽろ

左から伊藤雅暢氏、議長の野沢宏紀氏、市川慎二氏

 月刊財界さっぽろ本誌2022年11月号で報じた、恵庭市議会前議長の伊藤雅暢氏による市職員へのパワハラ騒動。自身が深くかかわるイベントの飲食代を市で支払わせようと、担当職員に対し複数回にわたって大声を上げるなどして恫喝、担当職員が体調を崩して現在も療養している、というもの。詳しくは本サイトに掲載の当該記事を参照いただきたい。

 11月号発売後、伊藤氏は所属する市議会最大会派「清和会」に退会届けを出し諸派に。伊藤氏は本誌の取材には一切無回答だが、北海道新聞の報道によれば恫喝の事実をおおむね認めたことで会派に迷惑がかかる、ということを退会の理由としたという。
 その後の動きについては、明日11月13日日曜午前9時に本サイト「財さつJP」及びデジタル版、翌14日月曜に雑誌版が全道の書店・コンビニエンスストアで発売となる財界さっぽろ12月号で詳報している。

 一方、市議会では10月14日にハラスメント根絶条例が制定。本誌などの報道や伊藤氏の会派退会など今回の件を対象とする方向となり、条例に基づく第三者調査委員会の設置が議論されることになった。
 その中で昨日の11月11日に行われたのが、現議長の野沢宏紀氏及び市議会5つの会派に、伊藤氏ほか諸派の2人を加えた会派交渉会。各会派の合意に基づき、市提案の議案や議会の検討事項を話し合う場だ。
 市議会が先週から今週に書けて開いた市民との意見交換会では、この問題についての厳しい意見が噴出したこともあり、市議会の信頼回復を図る意味合いもあって公開で行われた。
 この日の焦点は、11月号で既報の通り、恫喝当事者の伊藤氏だけではなく、伊藤氏が恫喝を行った現場に立ち会い“傍観”していた議長の野沢氏についての取り扱い。条例ではハラスメント事案が起きた際、議長が第三者委の設置やその委員選考などについて責任を持つと定められている。一方、議長がハラスメント当事者だった場合は副議長が担当することになっている。
 そのため、議長の野沢氏が今回の件を調査「する側」になるのか、当事者として「される側」になるのかで議論に。副議長の小橋薫氏を中心として調査委を設置すべきと主張する意見も出た。
 一方、伊藤氏が所属していた清和会会長として出席した市川慎二氏は、調査委の設置をする前に市議会の場で伊藤氏の恫喝などについてあらかじめ調査を行い、調査委に基礎資料として渡すべきと提案。職員を市議会の常任委員会など公開の場に呼んで話を聞くべきとしたが、これに他会派が反発。さらに、議論の進行役である野沢氏も、自身の立場についてよりもまず、議会の場でまず調べるのか、調査委ですべて行うのかの二択だと各会派に投げかけたことで、議論がヒートアップした。

 市川氏の意見は一見すると正論にも思えるが、ここに各議員の共通認識が一つある。市への取材によれば、伊藤氏が恫喝した現場には、野沢氏だけでなく市川氏も参加していた。
 野沢氏だけでなく市川氏も恫喝“当事者”の可能性がある、というのが各議員の前提。その市川氏が議会による事前調査を主張した。もし事前調査が議長である野沢氏の主導で市川氏が質問する、といった形で行われた場合、恫喝の当事者と疑われる側が、された側に公開で質問をするということになる。ハラスメントの調査としては一般的に言って有り得ない話で、それがこの日の背景にある。
 市議会は現在、伊藤氏が所属し市川氏が会長を務める清和会と、野沢氏が所属する公明党会派の結びつきが強く、多数派として主導権を握っている。3人しかいない公明の野沢氏が議長を務めているのもその成果。「伊藤氏を含め“ダメージコントロール”で結託している可能性がある」と議会関係者が話すように、野沢氏、市川氏の2人は自分たちが当事者にならないような方向にしたい、という思惑が透けて見える。他会派の議員はそこを問題にしているのだ。
 実際、野沢氏はこの日、出席者の1人から「(本誌の報道の通り)議長は(伊藤氏の恫喝を)傍観していたんですか?」と直接問われると「この場で話すことではない」と回答を拒否。傍聴していた市民からは「白々しい」と失笑が漏れていた。
 この日の会合では副議長の小橋氏を中心に第三者調査委員会の設置を行うことでひとまずの合意を得たが、課題は山積している。

 本誌12月号では、今回の件の続報として、野沢氏の立ち回りや本誌が改めて送付した質問に対する回答を掲載。ハラスメントについての野沢氏の“驚くべき認識”についても紹介する。
 また財さつJPでは、伊藤氏に持ち上がった新たな「恫喝」疑惑についても近日中に報じる予定だ。

こちらもおすすめ

関連キーワード