伊藤雅俊 イトーヨーカ堂社長【1976年新年号】

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笑顔をみせる伊藤雅俊氏(左)

北海道は、魚を好む純日本人的な人たちが多い

 セブン&アイ・ホールディングスは、日本の流通業界で確固たる地位を築いている。
 同社の嚆矢となったのは、1958年に設立したGMSを運営するイトーヨーカ堂だ。
 その創業者である伊藤雅俊は、1976年新年号で、本誌のインタビューに応じている。
 当時のイトーヨーカ堂は、ダイエーに追いつけ追い越せと、急成長を見せていた。
 道内では帯広に初進出。この取材の直前に札幌の琴似に道内2店舗目を出店していた。
 伊藤は、次のような北海道の食文化の特徴を明かしている。
「北海道は牧畜が盛んな土地柄なのに、肉の消費が少ないということです。そういう意味では、魚を好む純日本人的な民族なのかもしれない」
 伊藤がインタビューで経営方針として、「クリエイト」「チャレンジ」「チェンジ」「チェック」という4つの言葉を挙げた。
 あわせて、商人には「運・根・鈍」が必要だと説いている。
「運とは、時代を見抜く力だ。根とは、チェックだ。鈍とは、まじめにやるということだ。とにかく小利口人間ではなく、一本の街道を歩むような商売をしなければならない」(伊藤)
 イトーヨーカドーは安売りとは一線を画した。
 伊藤はその理由を明かす。
「小売屋で一番やりいい商法というのはディスカウントだけれども、そればかりに走ってはいけない。外国ではリーズナブルプライスということをいう。つまり妥当な値段ということ。消費者の身近なところで、それも実践していくという点で、スーパーのレーゾンデートル(存在理由)は失われることはない。それと豊かな食生活やセンスのある衣料の普及を図っていくことも、われわれの仕事だと思っている」

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