福田赳夫 大蔵大臣【1966年新年号】
北海道は日本の生命線、オレたちに任せろの気迫を
「今日は難しい話をやめようや。かたぐるしくないところで……」
開口一番、聞き手の本誌社長・薩一夫に希望を伝えたのが、大蔵大臣の福田赳夫だった。
この日で福田と面会したのは4度目。薩はひるまなかった。福田に寒冷地の生活の厳しさを力説。冬季生活のための増加生計費を例にあげ、実質所得が東京より低いデータを示した。その上で、福田に寒冷地の特別減税を提案した。
福田は「北海道や寒冷地だけを特別扱いするのは難しい」と回答。その上で、「とにかく国は北海道に全力投球しますから」とコメントを引き出していた。
取材の中で話題になったのが、道銀初代頭取の島本融だった。
「(島本さんは)同じ大蔵省の出身だから…。あの人とは大阪の国税局時代、お互いに機関誌に経済論文を発表しあったりして…。なかなかの秀才らしかった。最近会長になったらしいが、うまくやっているんだろうな」
福田は満州と北海道の類似性に言及し、こう指摘していた。
「いまの北海道は日本の生命線だと言われている。それなのに、昔の満州に対しては国を挙げて支援体制をとったのに、北海道はかけ声だけで。しかし、町村知事になってからやっと身を入れだした感じだな」
最後に福田は北海道の財界人を叱咤激励した。
「北海道の人はどうも〝ど根性〟に欠けるような気がする。一番いい証拠は、北海道ぐらい中央に陳情に来るところはないですよ」
「この間もイモの陳情に400人も来て、その費用が2000万円もかかったとか。本州の能力と資本に依存しすぎる。北海道にも十分力がついているんですから…。北海道はオレたちに任しておけ、という気迫がほしい」