【IR特集・道内上場企業53社】決算短信直近データ一覧
北海道本店所在の全上場企業53社(ほくほくファイナンシャルグループを含む)の
直近(2021年6月期〜2022年5月期)決算短信を一挙公開。
コロナ終息を間近に控え、各企業の業績回復の兆しが見えてきている。
企業価値の向上に向けた取り組みを注視
新型コロナウイルスの感染拡大が始まって約2年半。何度もいわれ続けたが、いよいよコロナ禍後の時代がやってきそうだ。多少の増減はあるが新規感染者数は減少傾向にあり、マスク着用の必要性も議論に上っている。海外観光客の受け入れも開始間近となり、道内の観光業界も準備が整いつつある。
そんななか、株式市場では東京証券取引所が新制度がスタートしている。4月4日から「東証一部」「東証二部」「マザーズ」「ジャスダック」を再編し、「プライム」「スタンダード」「グロース」の新市場が発足した。東証の市場再編は1961年の東証二部誕生以来、60年ぶりのことだ。
最上位の位置付けであるプライム市場は、上場維持基準が流通株式時価総額100億円以上、流通株式比率35%以上など東証一部に比べてハードルが高くなった。そのため東証一部上場企業2200社のうちプライムの基準を満たしたのは1841社。300社に経過措置がとられた。
基準の厳格化は、東証の世界的な競争力を高めつつ、上場企業の活性化を促すという目的がある。21年6月に改訂されたコーポレートガバナンスコード(企業統治指針)によって上場企業にはより厳しい目が向けられている。さらに今回の再編では、ESG(環境・社会・企業統治)関連の取り組みと開示が求められている。これらに対応することで今後、企業価値の向上、課題解決に向けた取り組みにも注視していきたい。
道内企業に目を向けると、プライム市場への移行は経過措置を適用した企業も合わせて16社。一方、スタンダード市場は20社、グロース市場は2社となっている。このほか、札幌証券取引所、札幌アンビシャス市場への上場企業34社と合わせた53社(当社調べ、重複上場あり)が上場企業となっている。
総数は減少したが、好調な企業は増えた
その道内上場企業の決算報告が出揃った。道内経済を占う意味でも上場企業の動向を確認していきたい。
53社のうち増収を達成したのは35社で、比率は66.0%となった。21年度の増収企業は20社で、その比率は37.7%だったため、22年度は増収企業が増えたことになる。ただし上位5社までの総売上高を比較すると、21年度は3兆5491億円だったが、22年度は3兆5266億円に減少。上位20社までの総売上高も21年度の5兆6730億円から、22年度は5兆6717億円に減少した。
また経常利益について増益になったのは26社で、比率は49.1%。こちらも21年度の18社、34.0%を大きく上回った。しかし売上高と同様に、上位5社まで、上位20位までの総経常利益はともに22年度の方が減少している。同様に当期純利益も増益は27社で、割合は50.9%。21年度の15社、28.3%よりも増加しているが、上位5位まで、上位20位までの総当期純利益はともに21年度よりも減少している。
つまり、コロナ禍の真っ最中だった21年度よりも3部門の総数は減少しているが、業績が好調の企業は増えたということ。もがき苦しみつつも各企業が努力した結果だ。道内経済全体の回復はこれから。各企業の取り組みを、次のページから見ていこう。