SDGsに取り組む道内企業

豊かさを追求しながら地球を守るために設定

 SDGs(持続可能な開発目標)は産業革命以降、世界経済が急激に発展したことで、地球に危機が迫っているという提言が発端。1972年にマサチューセッツ工科大学のメドウズらが発表した「成長の限界」を起源に、15年9月の国連サミットで30年までの国際目標として採択された。持続可能な世界を実現するための17のゴール・169のターゲットで構成され、その中心的な思想として、地球上の「誰一人として取り残さないこと」を誓っている。
 17のゴール・169のターゲットは、豊かさを追求しながら地球環境を守るために設定されたもので、貧困や飢餓、環境問題、経済成長、ジェンダー平等など幅広い課題を網羅。一人ひとりが当事者意識を持ちやすいように、民間企業による取り組みが大きな焦点になっている。
 日本でのこうした活動はCSR(企業の社会的責任)として、利益の一部を社会に還元する活動を指すことが多かったが、持続可能性を重視するSDGsでは、本業そのものにSDGsの考え方を組み込むことが必要。ボランティアや寄付といった事業外のことではなく、企業の収益が社会や地球環境の改善につながるようなビジネスモデルが求められている。一例で言えば、自動車会社がガソリン車を大量に製造して得た利益を社会貢献活動に使うのではなく、地球環境を改善するために電気自動車を開発するといったことになる。
 こうした取り組みは、企業価値の向上を下支えし、企業あるいは業界におけるイノベーションにもつながる。SDGsによる市場規模は12兆円にもなると言われており、世界経済の成長も見込まれている。そのためグローバル企業をはじめ、多くの企業がSDGsへの取り組みを始めている。
 この流れは多方面におよんでおり、例えば株式市場では、環境(Environment)、社会(Social)、企業統治(Government)に長けた企業に投資する動きが活発化。これはESG投資といわれ、新しい事業機会の創出や人材確保の面で有利になるという見方もある。

北海道の未来のため社会課題の解消を

 しかしSDGs導入の出足は鈍く、17年3月に一般財団法人「企業活力研究所」が発表した「社会課題(SDGs等)解決に向けた取り組みと国際機関・政府・産業界の連携のあり方に関する調査研究報告書」によると、「持続可能性に関わる企業価値の向上において重要と考えている」が約70%を占めている一方で、「SDGsに関連した今後の取り組み状況」について、短中長期を含めて「取り組みがある」と答えたのは20%に満たなかった。企業活動としての取り組みはまだ進んでいるとはいえなかった。
 そうした状況のなか、道内では自治体の体制が整いつつあり、18年に「北海道SDGs推進ネットワーク」を北海道が設置。その後、「北海道SDGs連携会議」や「SDGs×北海道セミナー2022」を開催したほか、20年度からは各市町村のSDGs達成に向けた支援も行っている。
 こうした取り組みもあり、「北海道SDGs推進ネットワーク」の22年1月末時点の会員数は1320人に到達。新規会員数は、20年が331人、21年が480人と、裾野が拡大していることもうかがわせる。
 そこで今回は、SDGsに取り組む道内企業を特集した。商品開発や新エネルギーの活用、商品の普及などで、北海道の環境問題、経済、社会課題の問題解消に積極的に取り組む企業の活動をぜひ知ってほしい。