あなたのまちは大丈夫?北海道内市町村「上・下水道」老朽化率ワーストランキング(25年9月号掲載、無料公開)

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上下水道は生活に欠かせないインフラだ

 

 国土交通省が4月、下水道管の全国特別重点調査の結果を公表した。昨年1月に起きた埼玉県八潮市での道路陥没事故を受け、同省が全国の自治体に要請し、老朽化などを調べたものだ。腐食や損傷が確認され、原則1年以内の速やかな対策が必要な「緊急度1」と、応急措置を実施した上で5年以内の対策が必要な「緊急度2」に分類した。

 北海道では、47自治体が管理する下水道管の長さはトータル389㌔。今回の調査では、緊急度1が12自治体計1・8㌔、緊急度2は、18自治体で計6・9㌔だった。ちなみに全国5332㌔㍍のうち、緊急度1は計201㌔、緊急度2は計547㌔だった。

 調査結果を受け、国は道路陥没の防止に向けて、各自治体に早期の対応を求めている。補助金などの支援策はあるものの、自治体側の自己負担も避けられず、財政事情が厳しい自治体では、改修になかなか着手できないのが実情だ。

 本誌2025年9月号では、「北海道内市町村『上・下水道』老朽化率ワーストランキング」を掲載した。本稿で無料公開する。

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 能登半島地震や埼玉県八潮市の陥没事故を契機に、地面の下に埋まる上下水道の耐震化状況や老朽化について、「わがまちの〝管〟は大丈夫?」という関心が高まっている。道内各市町村の上下水道に関して、老朽化率を高い順にまとめた。

札幌市内でも増加、道路の陥没事故

今年1月25日、埼玉県八潮市の交差点で陥没事故が発生した。74歳の男性が運転していたトラックが穴に転落。その穴は徐々に大きくなり、救助が難航。3カ月以上経過した5月2日、運転手が遺体となって発見された。巨大な下水道管(直径4・75㍍)が破損し、土砂が流れ込んだことが原因とされている。
 各メディアは下水道管の老朽化で起きた過去最大級の事故として報道。全国に衝撃を与えた。

 国土交通省もこれを受け、3月中旬から下水道管の状態を確認する「全国特別重点調査」を自治体に要請。
 北海道内では札幌市や旭川市、函館市、北見市など37市町が対象となっており、1年以内の結果報告を求めている。
 その矢先、埼玉県行田市でも悲しい事故が起きた。8月2日、下水管の点検をしていた作業員4人がマンホールに転落し、全員死亡。死因は調査中だが、硫化水素中毒によるものという見方が強い(※後日死因は2人が硫化水素中毒、2人が硫化水素中毒による窒息と断定)。

 札幌市内の下水道業界関係者はこう話す。
「八潮市で破裂したサイズの管は、札幌市内では下水処理場付近の流末くらいでしか使われていないです。あのような事故が起きる可能性は比較的低いと思いますが……。しかし、水道管関連の事故は市内でもどんどん増えている印象を受けています」
 実際、2月に清田区の「道道真駒内御料札幌線」で道路中央が陥没。横60㌢、縦80㌢、深さ2・3㍍の穴が空いた。7月7日には、北区新川の歩道に駐車していたトラックのタイヤ半分が地面に埋没する事故も起きた。前者の原因は調査中だが、後者は下水道管の破裂が一因だった。

 こういった状況を受け、札幌市下水道河川局の事業推進部担当者は、「今年に入り、札幌市民の方から『私が住んでいる場所の下水管は何年経っていますか?』という問い合わせをいただく機会が増えました。私が知る限り、これまでは、一度もそういった連絡が来たことはありませんでした」と述べた。

上水管の耐用年数は40年だが…

 この記事では「上水道管」と「下水道管」の老朽化率ランキングをまとめた。総務省が発表している地方公営企業決算の経営指標算出元データをもとに作成している。

 国は市町村の上下水道事業の「地方公営企業」への移行を推進してきた。今後、人口減少などから料金収入が右肩下がりになっていく中、施設の設備投資にかかる負担が重くなるのは必至。その流れに対応するため、各自治体で独立採算制を導入し、経営状況や財政状態の明確化を図っていくというものだ。

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 このランキングは地方公営企業に移行し、経年化率を公表した自治体で構成している。同項には「上水道」の老朽化率を掲載した。
 国が定めた上水道管の耐用年数は40年。原水を浄水場まで送る「導水管」、その水を配水場へ運ぶ「送水管」、配水場から各家庭に水を供給する「配水管」の全長に対して、40年以上経過した割合で算出した。
 北海道内で老朽化率が特に高かった10自治体は以下の通りだ。(企業団の供給区域は注釈に明記)
 ①津別町(84・0%)
 ②当麻町(74・7%)
 ③森町(74・0%)
 ④月新水道企業団(62・9%)
 ⑤桂沢水道企業団(60・7%)
 ⑥鷹栖町(57・3%)
 ⑦知内町(55・9%)
 ⑧蘭越町(55・0%)
 ⑨網走市(54・4%)
 ⑩室蘭市(52・7%)
 割合的には津別町が一番高い数字となった。全長は約125㌔で内訳を見ると、送水管と配水管の経年化率が高かった。

 同町の建設課・水道係担当者はこう話す。
「もともと、老朽化率が道内平均よりも上回っているというのは把握していましたが、一番古いという風に認識はしていませんでした。すでに今年度から『老朽管更新計画』も始まっており、更新作業に力を入れています」
 また、40年が過ぎたからといって、すぐに管が使用できなくなるわけではない。市町村によって目標使用年数を100年に設定しているところもある。劣化具合を見極め、優先順位を決めながら整備していくケースが多い。

地面を掘り起こさない「更生工法」

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 一方、道内の「下水道管」は全長約3万3000㌔。老朽化率は13%で全国平均を上回っている。耐用年数は50年と定められており、上水道と同様に基準を過ぎても状態に応じて使用が可能だ。
 自治体別で見ると、特に高いのは①室蘭市(31・5%)だ。②札幌市(17・9%)③江別市(15・7%)とは差が開いた結果となった。

 室蘭市の下水道管は全長565㌔。そのうち178㌔の管が50年を超えている。
 同市水道部の担当者はこう説明する。
「工業で栄えたまちというのが関係しているかは分かりませんが、道内でいち早く、下水道整備を進めてきたという歴史があります。ほかの主要都市と比べると面積が狭く、一気に普及させることができたというのもこの数字につながっていると思います。一気に直すのは現実的ではありません。財政状況を見ながら、更新作業を進めていきます」

 更新工事は地面を掘り起こし、水道管を交換する「開削工法」をイメージする人も多いだろう。しかし、昨今は管路の内面に樹脂製の管体を形成して修繕する「更生工法」を採用するケースも増えているという。
「穴を掘る必要が無く、交通量の多い場所でも渋滞を招かずに工事を進められます。まちの中心部は更生工法で施工するケースが多いです」と話すのは、札幌環境維持管理協会の福田年勝会長だ。公清企業の社長も務めている。
 同協会は1987年に設立。廃棄物の収集運搬のほか、下水道管渠の維持管理などを行っている。最近は管更生部会を新設し、建設会社などの加盟も増えているという。

 道内は本州に比べ、寒暖差が激しい。地面が凍結・解凍を繰り返すことで、水道管に圧力が加わり、劣化の進行を早める可能性が高いとも言われている。
「札幌市内も1972年の冬季オリンピック開催に合わせて、整備を行いました。あと数年で老朽化率もかなり上がると思います。われわれの協会としては、作業現場が増えていく中で、修繕工事を滞りなくできる体制を整えていきたいです」と福田氏は力を込めた。

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