【再録・無料公開】スポーツ界の“シンジ”が爆笑㊙トーク!
本誌で連載コラムを持つ元騎手・藤田伸二さん。2016年、日本一に輝いた北海道日本ハムファイターズの高橋信二捕手コーチ兼打撃コーチ補佐(現在はオリックス・バファローズ打撃コーチ)。そして小野伸二さん。スポーツ界の〝トリプルシンジ〟が集結した。和気あいあいの雰囲気で、異種アスリート鼎談が実現。2017年新年号では話が収まりきらず、2号連続で掲載した。
始球式のときの捕手が高橋信二
藤田 : まずは、優勝おめでとう!北海道を盛り上げてくれて、うれしいよ。
高橋・小野 : ありがとうございます。
藤田 : まず、2人との出会いから話すと、小野伸二とは財界さっぽろさんで連載している北海道コンサドーレ札幌OBのスナ(砂川誠さん)が連れてきた。高橋信二は知り合いと一緒に焼き肉屋に行ったとき、「同じシンジを呼ぶわ」となって、来たんだよな。
高橋 : そうですね。
藤田 : ていうか、俺が始球式を札幌ドームでやったとき、ボールを受けたのが信二だったらしくて。最近まで、俺が始球式で投げたのを忘れていたでしょ。
高橋 : (苦笑)
たくさんの人が始球式をやっているじゃないですか。僕も伸二さんに言われた後ユーチューブの動画を確認しました。白いマスクをしていたので僕です、となったんです。
藤田 : だいたいプロアスリートのシンジ3人が集まるなんて、めったにない。ほかにシンジという名前を聞かないじゃない?
小野 : サッカー界には、結構いるんですよ。岡崎慎司とか香川真司とか……
高橋 : めちゃくちゃいるじゃないですか!
藤田 : エッ、野球選手っていた?
高橋 : あんまり思い浮かばないですね。
小野 : サッカーはその2人が超有名だから。
藤田 : 全然伸二だって負けてないよ。同じレベル。会った時の印象は、一緒に飲んだくれてただけだけど。
小野 : 間違いないですね。
野球、サッカー界勝利給の裏事情…
藤田 : 伸二に聞きたいんだけど、J1に上がったら給料は上がるの?
小野 : 多少は上がりますが、大幅に変わることはないです。
藤田 : J1になったらスポンサーも増えるよね。野球選手もサッカー選手も騎手と違うのは、すべて年俸契約でしょ。俺らはその週、その週の稼ぎだから。
小野 : 確かにケガをしたりしても保証はされていますよね。
藤田 : 騎手はケガをしたら一銭も入ってこない。
小野 : プロ野球には勝利ボーナスはあるんですか?
高橋 : ありますね。
藤田 : サッカーもある?
小野 : クラブからベンチ入り18人に支給されます。1分でも出場すれば、パーセンテージが変わるんです。とはいっても、金額は全然高くないので。チームによって金額は違って、浦和レッズとかはすごいと思いますよ。
藤田 : 1990年代前半のJリーグ創生期、ヴェルデイ川崎(当時)とかめちゃ強かったじゃない。
小野 : みんな1億円プレーヤーだったし、観客もどの試合も入っていた。ヴェルディはとくに人気チームでしたね。
藤田 : 野球選手は?
高橋 : 勝利給の総額が決まっていて、ベンチ入りの監督・コーチ・選手は、一律いくらと設定されています。残りは活躍度合いによって振り分けられます。
藤田 : 野球選手、サッカー選手より現役の寿命は、ジョッキーのほうが長いかな。でも、カズさん(三浦知良選手)とかはすごいと思うけどね。
小野 : カズさんは、すごすぎます。だいたい外見が49歳に見えないですもん。
高校サッカーがすべてではない時代
藤田 : そういえば、福岡ソフトバンクホークスとのクライマックスシリーズで、調子を落としていた選手がいたじゃない?
高橋 : 誰ですか。賢介(田中賢介選手)?
藤田 : そう、そう。
高橋 : 僕は現役時代、一緒にプレーしていたので、こっそりベンチ裏に呼んで「いいかげんにせぇ」と(笑)。しっかりしなければいけないけど、体が思うように動かない。「お前が活躍しないと日本一になれないし、リーグ優勝で満足されては困る」と伝えました。
藤田 : サッカー界は後輩を見ていてどう?
小野 : 持っている技術などは、いいものを持っている。でも、僕らの世代は、縦社会をすごく感じて育ってきましたよね。いまの子たちは、そういうのがホントになくて。
僕らの時代は、高校サッカーがメーンだったわけです。高校の部活がクラブのユースチームに負けることはほとんどなかった。いまはクラブチームがメーンになっていて、高校サッカーに行く選手が少なくなっているんですよね。クラブチームは〝仲良しクラブ〟じゃないけど、縦の社会が全然ないんです。
藤田 : 年齢は関係なく?
小野 : そうですね。縦社会でもまれた経験がないから、加入してきても、のほほんとしている。
藤田 : 騎手の後輩でサッカー好きがこんなことを言っていたことがあってさ。「小野伸二は、日本にいても自分のパスセンスに追い付いてこられる選手はいない。だから、海外に行った」と。そんな思いはあった?
小野 : サッカーに対するイメージってみんな違うと思うけど、少しありましたね。
結局、ボールを持っている選手がまわりをうまく操らないといけない。それができなかったというのは、僕がまだまだ未熟だったなと思います。
ヒデさん(元日本代表・中田英寿氏)みたいなタイプだったら、ボールを出してパスミスになっても、「なんでお前がいかないんだよ」と言える。僕はそういうタイプじゃなかった。
藤田 : いまだったら言える立場じゃん。
小野 : 厳しくは言っているけど、試合になるとうまくいかないんですよね。
藤田 : 俺らが一番頑張っていた時代と比べて、なんか雰囲気がほんわかしているというのかな。
高橋 : 競馬やサッカーだけではなく、野球界もそうかもしれませんね。