【IR特集】道内上場企業54社決算短信 直近データ一覧/決算短信の見方

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コロナ収束で売り上げを伸ばした企業が増加。一方で資源・エネルギーや人件費の高騰が利益を圧迫する。北海道に本社および本店を置く全上場企業54社の直近(2022年6月期〜2023年5月期)決算データを一挙公開しリポートする。

 日経平均株価の上昇が続いている。2023年は、1月4日の大発会が377円安の2万5717円で取り引きが終了。その翌日から2日連続で大幅続伸となった。以来、株価は右肩上がり。一時的な反落はあるものの、5月17日には1年8カ月ぶりに3万円台を回復。その後もバブル経済崩壊後の最高値を更新し続け、一時は3万3700円を超えている。
 日本経済はコロナ禍からの脱却により、各業界で業績がV字回復を果たしている。業績の好調が株価に反映されるのは必然だが、日本株の好調ぶりはアジアでも突出している。今年の時価総額は米ドル建てで換算すると4000億㌦(約55兆円、5月中旬時点)増。これは中国の約2倍だ。
 こうした株式市場の活況は、好業績に対する評価だけではない。株主還元の一環として多くの企業が自社株買いを活発化、さらに配当を増やしているためだ。24年3月期の予想配当額は合計15兆2000億円となっており、前期よりも1000億円の増加。3年連続で過去最高を更新している。さらに海外投資家による〝日本買い〟も加速。日本企業への期待の現れといえる。
 一方、道内の実体経済はどうだろうか。道内上場企業54社(当社調べ)の動向を決算報告から見てみよう。
 本誌が集計した直近1年間の道内上場企業54社中で増収となったのは37社で比率は68・5%だった。ちなみに21年度は20社(37・7%)、22年度は35社(66・0%)。コロナ収束で経済活動が活発になったことが各企業の増収につながったと考えられる。
 上位5社の総売上高を比較すると、21年度の3兆5491億円に対して、22年度は3兆5266億円に減少していた。しかし23年度は3兆9575億円となり再び上昇に転じている。伸び率は12・2%の大幅増だ。上位20社の総売上高も21年度は5兆6730億円だったのに対し、22年度は5兆6717億円に減少。23年度は6兆2499億円となっており、伸び率は10・2%と大きく伸長した。
 一方、経常利益については、増益になったのは25社で、比率は46・3%。21年度の18社、34・0%は上回ったが、22年度の26社、49・1%より下回っている。総数で言えば、上位5社の総経常利益は2652億円で、22年度の2589億円よりも上昇。ただし上位20社の総経常利益は3698億円で、22年度の3754億円を下回った。
 当期純利益では、増益を達成したのは23社で、割合は42・6%と半数以下となった。22年度(27社、50・9%)と比較すると、明らかな減少だ。ただし、コロナ禍の21年度(15社、28・3%)に比べると増益を達成した企業は多い。上位5社の総当期純利益も1734億円で、22年度の1690億円より上昇。上位20社の総当期純利益は2370億円となっており、22年度(2365億円)よりもわずかながら上回った。
 主要3項目の結果だけでみると、売上高は総じて伸長傾向にあるが、利益に関しては増加した企業と減少した企業がまちまちだ。売り上げ増に見合った利益が出せていない状況と言えるだろう。これは、円安による資源、エネルギー高、人手不足による人件費の高騰などが利益を圧縮していると考えられる。こうした外的要因に左右されない企業基盤を構築することが企業の成長にとって避けては通れない道といえる。
 ただし売上高の増加は、明るい兆候に変わりはない。それぞれの企業はこうした環境の変化を乗り越えるためにどのようなの戦略やビジョンを描いているのだろうか。その詳細を見ていこう。

決算短信の見方

 決算短信には、当該事業年度の業績や財務状況の概略(掲載表組み)に加え、企業集団の状況、経営方針、経営成績および財政状況、連結財務諸表など約30〜40数㌻にわたり情報が開示されている。
 基本となるのはトップページの売上高、営業利益、経常利益、当期純利益、自己資本当期純利益率(ROE)、総資産経常利益率(ROA)、売上高営業利益率、自己資本比率の各指標。これを見れば、企業の「成長性」「収益率」「安定性」が大まかに判断できる。
 株価動向に連動しやすいのがキャッシュフローと次期の業績予想の項目。後述の用語解説でも説明しているとおり、営業キャッシュフローは、本業の営業活動によって生じた現金収入の状況を示す。ここがプラスであれば本業によって現金が入っている、マイナスなら現金が出ている、ということで本業の好不調がこの項目から判断できる。
 また、次期の業績予測は最下段に掲載。今期の業績に対してどう変化しているかがポイントだ。予想業績が上向きであれば企業の勢いも良いと判断できる。

 上場企業が業績開示用にまとめた決算報告の共通フォーマットが「決算短信」である。各企業が四半期ごとの決算発表時に作成し公表する。
業績、財務状況などはもちろん、企業が何を考え、どう行動したかを読み取ることもできる。
 本誌では、道内本店所在の上場企業54社の通期短信データを独自に表組みし、一覧として掲載した。
その中身を読み解けるよう各項目の意味、ポイントを解説する。

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