建て替えから半年、噂の飛び交っていた「IKEUCHIGATE」(丸ヨ池内)が底地を売却

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札幌市都心部に建つ「IKEUCHIGATE」

 商業ビル「IKEUCHIGATE」(札幌市中央区南1西2)はオープン前から、いろいろな噂が飛び交っていたが、一定のメドが着いたようだ。「IKEUCHIGATE」の底地が3月30日、売却された。

 買ったのは、地主株式会社(本社・大阪、旧社名・日本商業開発)。売買日に、同社を債務者とした根抵当権が極度額60億円で設定されている。
 地主の総務担当は「たまたまお話がありました。同じタイミングで札幌のもう1つの不動産も購入しました。今後、札幌でも、いい物件があれば購入していく」と説明する。
「IKEUCHIGATE」は、札幌の老舗・丸ヨ池内グループが手かげた。もともとあった同名の商業ビルを建て替え、昨年10月に開業したばかり。
 開業前から「テナントが決まらない」「必死に営業をかけているようだが、フロアが埋まらない」といった不安な情報が流れていた。実際、ショップだけでは埋まらないと判断し、道内の某学校法人にまで営業をかけていたという。
 結局、一部フロアが埋まらないままの開業となり、順次埋めていくと対外的にアナウンスしていたが、開業から半年経過した現在も、地下1階と6階のフロアが丸ごと空いている。
 立地は大通公園に面している札幌都心部。隣地に札幌丸井三越の百貨店があるように、決して商業施設の立地として悪い場所ではない。
 不動産業者の間では「建設費が高騰した影響で、収支バランスを維持するために設定賃料が当初より上がり、リーシングに苦労したのでは」といった噂が流れた。また、リーシングの時はコロナ禍だ。環境も悪かった。
 さらに丸ヨ池内グループにとって、根本的な課題もあった。不動産登記から透けて見える。
 昨年4月、オリックス銀行が債権額25億円で抵当権を設定した。金利は年10%とかなり高い。なぜ、こんな金利条件で資金を借りなければならなかったのか。答えは一定程度、推察できる。
 オリックス銀行との融資契約締結と同時期、北洋銀行、北陸銀行、日本政策金融公庫の根抵当権が解除されている。オリックス銀行からの融資によって解除できたと推察できる。
 地場企業の丸ヨ池内グループなのに地元銀行との関係が薄くなったわけだ。これが何を意味するか、金融機関関係者なら想像がつくはず。
 その後、昨年10月に三菱UFJ銀行から極度額35億円の根抵当権も設定されていたが、今回、地主への売却のタイミングでオリックス銀行、三菱UFJ銀行などの根抵当権が解除された。丸ヨ池内グループは借金のくびきから解き放たれた格好だ。
 丸ヨ池内グループの始まりは1893年。初代の池内与惣吉が「IKEUCHIGATE」のある場所に「池内金物店」を創業した。今回、創業の地を手放したわけだが、建物は丸ヨ池内がそのまま保有している。

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