【無料公開・JAグループ北海道】役員改選の候補者出そろうも混迷深まる中央会会長のイス

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手前がホクレンビル、奧が中央会などが入居する北農ビル

 JAグループ北海道5団体の常勤役員は今年、11人中5人が定年で退任となる。改選は間近に迫っているが、小野寺俊幸中央会会長の後任が誰になるのかは、なおも見透せない。各地区候補者の顔ぶれや最新の周辺事情をまとめた。

オホーツクは永峰、石井両氏に乾氏も

 北海道農業の司令塔・JAグループ北海道の5団体(道中央会、ホクレン、道信連、道厚生連、道共済連)には正副会長や代表監事など、常勤役員のイスが11あり(厚生連と共済連は兼務)、農家の代表たる各JAの組合長が就く。
 任期は3年で、今年6月が改選期。その時点で70歳か5期15年を超えていると内規により退任となる。
 本稿の表は現在の常勤役員とJAグループ枠の道農業公社副理事長、合わせて12人の顔ぶれで、今回は5人が交代となる。

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 その後任は、以下の過程を経て選ばれる。
 道内100のJAを12の地区に分け、それをさらに3つのブロックに振り分ける。その上で、農業生産規模の大きい有力地区にポストを割り振っている。
 第1ブロックは渡島・桧山、後志、胆振・日高、石狩で2枠。第2ブロックは空知、留萌、上川、宗谷で4枠。第3ブロックはオホーツク、十勝、釧路、根室で5枠。その上で空知、上川、十勝、オホーツクに2枠が割り当てられる。
 その後、各地区の組合長らでつくる役員推薦委員会で、組合長の中から枠の分だけ推薦者を選ぶ。
 今回はオホーツク選出の役員が2人とも退任。空知が1人、第1ブロックの2人も退任する。
 複数の関係者の話を総合すると、オホーツク地区ではオホーツクはまなす組合長の永峰勝利氏がまず有力。JA清里町の石井透氏の名前も上がっている。
「紋別・遠軽地域のJAから1人、北見を挟んで斜里・網走地域から1人選ぶ。酪農家の永峰氏は論客として知られており、中央会など論戦の必要な場所での活躍が期待できる。石井氏も組合長3期目で経験豊富。石井氏に加え、オホーツク網走組合長の乾雅文氏の名前も出てきている」(地元JA関係者)

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小野寺俊幸JA北海道中央会会長
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篠原末治ホクレン会長

空知地区は大半が代替わり

 空知地区は3年前の改選で異変が起きた。常勤役員は2期(6年)以上務められる者を選ぶという申し合わせ事項に反し、1期しかできない2人が推薦で上がってきた。そのため候補をどの役職に付けるかを決める「役員推薦会議」は大荒れとなり、空知はポストを1つ失い、第1ブロックが3枠を勝ち取った。
「各地区の役員推薦委員会委員長は大抵、組合長会会長が務める。会長は年齢による定年がなく、力のあるベテランが務めることが多い。だが空知はここ2年でほとんどの組合長が交代。組合長歴2期6年のJAきたそらち・柏木孝文氏が会長を務めている。その一方、年齢や経験から、柏木さんが常勤に出てこざるを得ない」(別のJA関係者)
 前回の二の舞を避けるため、柏木氏に加えてもう1人も、2期以上務められる組合長を選考するのは必須。
「そうなると、JA南幌町の林裕司氏以外に適任者がいない」(前出関係者)
 常勤の適任者が少ない、という意味では第1ブロックも同じ。第1ブロック2枠のうち1つを指定席とするJA新はこだては、2年前にお家騒動があって組合長がベテランに交代。今回は常勤に出せない。
「年齢的に言うと、JA道央の今村隆徳氏しかいない。まだ組合長1期目だが、問題はないだろう」(ベテランJA組合長)
 新人の常勤候補5人を加えた11人のうち、目下JA関係者の注目を集めているのが中央会会長ポストだ。
「現在の小野寺俊幸会長のように、農水省や自民党農林族にパイプを持つ候補はいない。そうなると、自分のJAが優良経営であるとか、合併を推進しているとか、中央会理事を経験して仕事になれているといったことで選ぶ以外にない」(中央会理事)
 本誌既報の通り、永峰氏が新人ながら抜擢、ホクレン会長の篠原氏が横滑り、といった観測もあるが、本誌締め切り時点では「まったく見透せない」と前出中央会理事は明かす。
 役員推薦会議は本誌発売日と前後して断続的に開催され、5月の中旬までには内定の見込みだ。

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