税理士法人フューチャークリエイト　中小企業の未来を創造。2025年に従業員100人を目指す

完全分業制を導入 電話対応も制限

――昨年８月にシマ会計から社名を変更されました。

島元 ： 世の中の変化の速度が速くなっており、中小企業も変わらないといけません。それには、まず私たちが進化した組織になる必要があった。そのための名称変更です。税理士は〝クライアントの未来を作るクリエーターである〟という意味で名づけています。

――業界に先駆けて働き方改革に取り組んでいますね。

植島 ： 税理士事務所はどこも決算期の業務が過大になりやすい。当社もピーク時80時間近かった。残業の抑制によって、現在は平均20時間未満に縮小しました。

――どのような改革をおこなったのですか。

島元 ： 分業制の徹底です。これまでは担当者が複数の業務を兼務することが多かった。そこで外回り、決算、帳簿作成などの記帳代行、総務、テレワーク部隊と完全に分けています。テレワークは主にデータ入力などで、主婦のパートを積極的に活用しています。
　また、社外からかかってくる外線電話の応対時間を午前10時から午後４時までに限定しました。従業員の中からは「お客さまにご不便をおかけするのでは」との意見も出ましたが、弊社内の業務効率化ができればお客さまにも還元できるとの思いで決断しました。

植島 ： 社内ではチャットワーク（ビジネス向けＳＮＳ）を積極的に活用して、連絡事項が速やかに伝わるようにしています。また従業員への意識付けも非常に大事と考えています。残業が減った分は給与にも反映させています。

「時間を売る」の視点で経営をサポート

――名称変更を機に新しい取り組みを始めています。

島元 ： 福利厚生である資格取得の補助も兼ねて、従業員を本来業務とは一見無関係なプログラミング学校に通わせています。これは社員それぞれの能力を高めることが有益と考えているからです。そして人がいれば新しいことを生み出せます。例えば、将来多角化を考えたときのヒントになる。この２、３年は赤字でも人材への投資期間と考えています。良い環境を整えて若い人材の雇用を続けていく。

植島 ： ＳＮＳでの情報発信も強化しています。ツイッターでは、カジュアルでフランクな言葉遣いで税理士事務所らしからぬこともつぶやいています。税理士を目指す若い世代にも見てほしいですね。

――「サフィルヴァ北海道」のスポンサーになりました。

植島 ： 札幌を拠点とするバレーボールＶ２リーグの男子チームです。目指す取り組みや明確なビジョンの設定などに共感して、昨年９月からオフィシャルパートナーを務めています。スポーツを通じて札幌の経済や地域活性化に寄与できればと考えています。

島元 ： これらの取り組みはお客さまに対しても訴えています。「オフィスワークだからできる」「３Ｋ業種だからムリ」ではなく、企業の永続化には環境整備に取り組み、人を集めるためのＰＲや地域貢献を続けることが重要です。

――税理士業をどう捉えていますか。

島元 ： 当社のビジネスは 経営者に「時間を売る」こ とです。それは企業の会計や税務業務を代行することで、経営者に本業に集中できる時間を持ってもらうためです。そして、その時間の中で経営者に〝気づき〟を得てもらうことが大切と考えています。
　その気づきは「経営計画」 の策定に生かされます。昭和を代表する経営コンサルタントの一倉定氏も自著のなかで経営計画策定の重要性を訴えています。
　しかし、 私もそうですが、経営計画の策定には、一人では不安になる要素が多いです。いくら考えても結局結論が出ない場合もあります。しかし、当社がサポートすることによって時間的な短縮が可能です。加えて社長の思いを引き出し、その思いに背中を押す。ときには違う方法はないかを一緒に考えることができます。

――今後の展開について教えて下さい。

植島 ： 個人事務所が多く廃業するケースも増えています。しかし、働いている従業員のことを考えると永続して発展させていくことが重要です。当社は最も若い社員が20歳です。少なくとも彼が退職する日まで存続できるような規模の大きな事務所にしたい。まずは２０２５年に従業員１００人の企業を目指します。