美浪左官工業
左官業の発展に全力を尽くし職人と顧客の笑顔を実現
2021年に創業90年を迎えた「美浪左官工業」。裏方ながら建築工程に欠かせない左官業において、多くの技術とノウハウを蓄積。取引先からも信頼が厚い優良企業だ。
左官は建物にモルタルといった素材を塗り、珪藻土や漆喰などの最終的な表面仕上げを施す。作業は壁や床を平たくかつきれいに塗る必要があるほか、コンクリートの土間打ち、階段の形を整えるなど、現場によって求められる技術は異なる。
美浪利光社長は「職人にはそれぞれ得意分野があり、塗り方の癖もあります。これらを見極めた上で、現場ごとに適材適所に配置している」と語る。
現場は一般住宅をはじめ、マンション、オフィスビル、大規模商業施設など多岐にわたる。営業エリアは道北・道東地区をはじめ、道外にも展開。顧客は口コミや紹介も多く、1年を通して安定した受注を獲得しているのも特徴だ。
一方、同社では一定の技術を担保するため、職人の育成にも注力している。左官職は免許が必要なく、職人によって技術のばらつきがあるためだ。
「当社は全職人に対して、左官技能士2級以上の取得を必須としている。資格を取得することで、仕事への責任感も芽生えます」と美浪社長。
職人の育成と定着率の向上を両立するため、資格取得にかかる費用は全て会社負担だ。入社後2年間は、4~12月に現場に出ながら技術を身につけ、1~3月は旭川市内にある訓練校に通学する。若手が育ちやすい教育体制を構築しているため、20~30代の職人が多く在籍するほか、ベトナムからの技能実習生も活躍している。
美浪社長は「私自身が就活生に戻ったとしても、この会社で働きたいと思える社内環境を整えています」と語り、これまでに労働形態や福利厚生の向上などにも注力。取り組みが評価され、19年には旭川市から「旭川市産業貢献賞」が贈られた。
節目となる創業100年を見据え、美浪社長は「当社がこれまで培ってきた技術や伝統、人のつながりを継承しつつ、時代のニーズを捉えていきます。当社の仕事に関わる全ての職人やお客さまを〝笑顔〟にしたい。
その責務を全うするのみです」と意気込む。