ソフィア北円山クリニック

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福井 里佳所長
ふくい・りか/1997年札幌医科大学医学部卒業。癌研究会付属病院乳腺外科、時計台記念病院外科勤務を経て、21年6月に現職に着任。日本外科学会外科専門医、日本乳癌学会乳腺専門医

病につながる患者の背景を知り、医療サービスを提供

〝ナラティブ・メディスン〟を提供

 社会医療法人カレスサッポロ(大城辰美理事長)が2021年6月に開設した「ソフィア北円山クリニック」は、常勤医師3人を含め、診察や検査などのスタッフが女性中心となっている女性のためのクリニックだ。
 福井里佳医師は、1997年に札幌医科大学を卒業後、01年から癌研究会附属病院の乳腺外科、21年から時計台記念病院で勤務し、同クリニック開院とともに所長に就任。乳腺外科を専門としている。
 運営母体のカレスサッポロは、08年に全国で初めて社会医療法人に認定された、きわめて公共性の高い医療法人。札幌市内に北光記念病院(東区)、時計台記念病院(中央区)のほか診療所3施設、介護老人保健施設や在宅医療福祉支援センターなどを展開している。
 昨年には医療併設型賃貸マンション「プレミアムガーデン北円山」(中央区北4西18)を開設。女性シニア向け住戸68戸のほか、クリニックや調剤薬局、ドラッグストアなどを併設し、施設全体で〝医〟〝職〟〝住〟を支え、生きがいを持った暮らしをサポート。全国的にも珍しい試みを実践している。
 昨年6月、同施設の3階に開設したソフィア北円山クリニックは、内科、乳腺外科、小児科、婦人科、眼科を標榜し、同施設の入居者や地域の診療にあたっている。
 福井所長は「患者さん一人ひとりとの対話を大切にし、そのなかから物語を紡ぎ出し、患者さんの価値観に沿って医療を提供しています」とクリニックの特徴を語る。その理念ともいえるのが、かかりつけ医としての〝ナラティブ・メディスン〟だ。

対話を通じて患者が納得いくまで説明

 ナラティブ・メディスンとは近年、米国の医学教育に取り入れられている考え方。患者との対話を通して病の背景を探り、個々の患者が持つ人生の物語に寄り添った全人的な診療を行うという概念だ。特に女性は子育て世代、閉経前後、老年期にかけて心身ともに変化するため、年代ごとの悩みや不安がある。画一的な対処では適切な治療とはならないことも多く、医療従事者には柔軟な姿勢が求められている。
 福井所長は「例えば、乳がんには大きく5つのタイプがありますが、診断時のステージや本人の意向など、治療の選択肢は広く、治療法も複雑です。納得して治療していただくため、患者さんの価値観や人生の背景をしっかりと把握し、時間をかけて説明することが欠かせません」とナラティブ・メディスンを実践している。
 クリニックは建物3階の全フロアを使用した広々としたゆとりの空間。14の診察ブースを設けているほか、設備もCT─X線撮影装置をはじめ、骨密度測定装置、超音波検査機器、マンモグラフィーを備えており、精度の高い診察につなげている。
 また、時計台記念病院と連携しているのも大きな特徴で、特に同院の藤井美穂院長がセンター長を務める女性総合センターと密に連携して、女性特有の疾患に幅広く対応している。
 福井所長は「女性特有の疾患には女性ホルモンが大きく関係します。例えば、乳がんは女性ホルモンの影響でリスクが高まりますが、一方で乳がんの治療薬によって子宮体がんのリスクが高まることがあります。バランスをとったキメ細かな経過観察が不可欠です。婦人科全般をカバーする時計台記念病院との連携は患者さんの安心にもつながっていると思います」と語る。
 今後は、利用者の情報をデータベース化し、医療はもちろん食事や介護に至るまでをアドバイスする体制を整えていく方針という。
「民間医療施設としては全国初の試みですが、女性の人生に寄り添う魅力的な医療サービスを提供していきたい」と福井所長。
 なお、同クリニックは男性の患者も受け付けている。

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「プレミアムガーデン北円山」は全国的にも珍しい医療施設併設型の賃貸マンションだ
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クリニックの受付となる総合案内所。院内は天然木を多く使った癒やしが広がる
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広々とした空間に外来の待合所(左)と診察ブース(右)が並んでいる
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婦人科の待合所は一面のガラス張りから優しい陽射しが差し込む
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超音波検査なども女性スタッフが担当
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マンモグラフィーもゆったりとしたスペースで
社会医療法人社団カレス サッポロ ソフィア北円山クリニック
札幌市中央区北4条西18丁目8番地1
TEL:011・624・8370
http://sophia-kclinic.jp/

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