【ジョイフルエーケーに聞く】重い雪であの商品が〝売り切れ御免〟続出
「年末までに大雪が降ると、除雪用品が売れる」(除雪用品メーカー関係者)
それが業界の通例だと言われている。逆に年明けの降雪には〝もう少し我慢すれば春がくる〟との心理が働き、そこまで売り上げは伸びない、との見方が強かったというが……
「これだけ需要があるのに、もう売るものがない。『何でも良いから、あるものをください』という声が多く、もどかしいです」と話すのは「ジョイフルエーケー」の商品第二部部長・村田俊司氏。同店では今年の1月中旬時点で、除雪用品は前年比約170%増。「物さえあれば、200%を超えたのではないか」と村田氏は分析する。
需要の起因は1月半ば、急速に発達した低気圧の影響により、道内各地が重いベタ雪で覆われたこと。札幌圏でも手強い冬将軍と〝格闘〟するため、ホームセンターに駆け込む市民が急増した。道民には一家に数台と言っても過言ではない除雪アイテムだが、雪の重さで使用中に壊れるなど、除雪難民が続出した。
札幌近郊のホームセンターでスコップやスノーダンプが品薄になる中、特に軽くて値段も手頃なプラスチック製は即完売。
「物がないため、土工農具用のアルミ製スコップや、1万円近いものもよく売れました。おかげで売り場は一時、すっからかん状態でした」(村田氏)
同時に売り場から姿を消したのが、カー用品コーナーの「けん引ロープ」や「スノーヘルパー」。どちらも車がスタックした際のレスキューアイテムだ。
「トラック用けん引ロープまで完売したのは驚きでした。札幌市の除雪ルールが変化したことも、一因かもしれません」と村田氏。さらに「北海道は雪解けまで、何が起きるかわかりません。来シーズンは積もる前に、除雪アイテム一式を準備されることをオススメします」と呼びかける。
人気はやはり、軽くて丈夫なタイプ。柄が湾曲したスコップは、腰への負担軽減が期待できる。スノーダンプでは、一度に多くの雪を運べる〝深型〟もあり、中でも柄のパイプが二重に補強されたものは、豪雪地帯の強い味方だ。逆に皿の幅が広く、雪を押し出すタイプのものは、道を作りたいときには便利だが、重い雪にはあまり向いていない。
村田氏は「これから春にかけて、氷割りに向けたアルミや鉄製スコップ、つるはしへと需要がシフトしていきます」と話す。
また、除雪関連商品にも注目が集まっている。秋山興業(札幌)の離雪スプレー「マルチバリアー」もその1つ。
同社は塗料や建築資材、除雪用品などを取り扱う商社。顧客の要望に応え、同商品を塗料メーカー・大信ペイント(大阪)と共同開発した。スコップや除雪機、タイヤ周りに吹きかけると、表面がコーティングされ、着雪を防止できる。
「他社商品の用途は離雪だけの場合が多いが、当商品は農機具のサビ予防やタイヤハウスの泥除けにも効果を発揮し、オールシーズン活用できます」と同社の常務・小池一平氏は話す。
第1弾は昨年9月に発売し、年末には1000本完売。以降も順調な売れ行きで、同社の売れ筋商品となっている。