日本気象協会が予報「雪解けは早いが…」

今冬、札幌周辺は平年を大きく上回る大雪に見舞われている。いつまでたっても終わらない雪かきに辟易している人も多いだろう。最新の予報では雪解けが早いという朗報もある一方、新たな悩みの種も……。
ラニーニャ出現時は大雪になる傾向
今シーズンは1月上旬にかけて北海道に強い寒気が流れ込みやすく、道内の降雪量は平年並みか局地的に多くなっている。とくに札幌を含む周辺地域では大雪に見舞われている。
札幌は1月中、ほぼ毎日雪が降り、1カ月の総降雪量は182㌢と、2008年以来14年ぶりの多さで、平年を45㌢も上回っている。
日本気象協会北海道支社の持田浩予報士は次のように語る(以下、カッコ内は持田氏)。
「1月は札幌に大雪をもたらす北よりの風となる日が多く、石狩湾から次々と活発な雪雲が流れ込みました。このため、札幌はもちろん、千歳方面にも雪雲が流れ込み、交通機関へ大きな影響を及ぼしました。一方で例年、平年を上回る大雪に見舞われる岩見沢や倶知安には雪雲が入りにくく、1月の総降雪量は、いずれも平年並みにとどまりました(岩見沢185㌢、倶知安247㌢)。風向きがあまり変わらなかったことが札幌周辺が大雪となった理由の一つと考えられます。」
これとは別に、今年は北海道周辺を低気圧が発達しながら通過することが目立ち、それが原因となって十勝地方など太平洋側でも局地的な大雪に見舞われている。
また、今季は太平洋赤道域の日付変更線から南米沿岸にかけて海面温度が平年より低くなる「ラニーニャ現象」が発生している。はっきりとした因果関係は明らかになっていないが、同現象が発生すると、道内では局地的に大雪となる傾向があるという。
観測史上最多の680㌢の降雪量(札幌市)を記録した1995~96シーズンもラニーニャ現象が起きていた。
詳細は別項に譲るが、一晩で何十㌢も降ることで除雪機能がマヒ。その結果、今冬、札幌市内では、至る所で交通渋滞が起こっている。除排雪が進まない理由の1つに〝雪質〟もあげられる。
「1月上旬は強い寒気が入り、平年より気温は低めに経過しました。しかし、中旬以降は寒気の中心が本州方面となり、北海道付近には季節外れの暖かい空気が入りました。その結果、札幌では連日最高気温がプラスとなり、1月中旬の平均気温は3月上旬並みに相当する暖かさとなりました。そのため、降る雪は北海道ならではのサラサラしたものではなく、北信越や東北で降るような重く湿ったベタ雪となりました。この雪を除雪するのは大変です。今後、温暖化が進めば道内でもこのようなベタ雪が降ることが増えてくるかもしれません」
最新の予報によると、今後は気温に注目だという。
「気象庁の発表によると、2月は全体として、気温は平年並みの見込みですが、2月後半は平年並みか高く、3月は気温が高くなる予報が出ています。札幌などでも例年より雪解けが早まる可能性があります。いまは降った雪に悩まされていますが、今後は例年より早い時期に急な雪解けによる雪解け水の処理に頭を抱えることになりそうです。道路が冠水して歩行が困難になったり、車は水はねに気を付けながら通行しなければなりません。そのほか、河川の増水や雪崩などに注意が必要となりそうです」