旭川空港 冬期欠航が少ない秘密は〝キレンジャク〟

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未明から除雪作業を続ける

 冬の空港にとって、降雪による発着便の乱れは大きな悩み。旭川空港では欠航となる便が少なく、観光関係者やスキー客からも評判が高い。欠航を防ぐ秘密は「ワックスウィングス」の活躍と複数の好条件にあった。

「ワックスウィングス」は旭川空港除雪隊の愛称。旭川の市民の鳥「キレンジャク」の英語名から取られた。
 旭川空港は1966年に開港。市が運営をしていたが、2020年10月から北海道エアポート(HAP)による運営を開始。HAPは新千歳空港など、道内7空港の運営を行っている。
 除雪方法については市からノウハウを引き継ぎ、自社で予算を確保。ワックスウィングスは市営時代から変わらぬ活躍を見せる。
 ワックスウィングスのメンバーは約40人。旭川市や近隣の町で農家を営む人を中心に構成されており、平均年齢は約40歳。交代で置かれる当直責任者は空港内に24時間待機して降雪の状態を確認している。
 朝一番の除雪は、一日で最も多い21人から24人で行う。運用開始時間の午前8時までに除雪を完了させるため、午前2時頃から作業を開始する場合も。日中に関しても少しでも雪が積もれば出動となる。除雪の所要時間はだいたい40分から60分程度だが、状況次第でさらに時間がかかる。
 除雪車は、7種類26台が用意されている。出動時は隊列を組んで息の合ったチームワークを発揮する。中でも除雪グレーダー専用車両は旭川と新千歳にのみ使用される。
「特に旭川空港では日中と夜間の寒暖差が大きく、路面の巨大な氷塊を除去するために活用しています」(HAP担当者)
 旭川空港で冬季の欠航便が少ない理由について、担当者は次のように分析する。
「各空港で環境に応じた除雪対策を行っており、優劣があるわけではありません。旭川空港では、長年引き継がれてきたワックスウィングスの高い技術はもちろん、航空管制官をはじめとする関係者と社内スタッフ間の強い連携によって予定通りの就航を可能にしています。また就航便数が1日7往復程度のため、発着便の間隔が比較的長く、除雪時間を確保しやすいという利点があります。さらに旭川の軽く乾燥している雪質も、除雪を完了させやすい要因となっています」
 定時運航のために万全の対策が取られているが、暴風雪や濃霧による視界不良や機材繰りの影響で欠航や遅延が出ることも。HAPでは乗客の不安解消のための対策を打つ。
「バスやタクシー会社と連携協定を結び、空港から市街地までの輸送サービスを実施します。航空会社でも同様のサービスを行うことがありますが、より安心安全な旅のため2次交通に力を入れていきます」

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