【除雪出動回数1600回の区間も】大動脈を守れ!NEXCO東日本の奮闘

高速道路の除雪の様子(NEXCO東日本提供)

 高速道路は物流、医療の面からも、北海道を支える重要インフラだ。ひとたび冬の天候悪化で通行止めになれば、大きな影響を及ぼす。高速道路を管理するNEXCO東日本はこの季節、雪と日々にらめっこ。除雪の技術革新にも取り組む。

 NEXCO東日本が管理する道内高速道路の総距離数は720㌔。札幌(123㌔)、北広島(149㌔)、旭川(122㌔)、室蘭(162㌔)、帯広(164㌔)に事務所を置き、それぞれ路線を分けて管理している。
 高速道路の除雪は3つの方法を採用している。
「一般除雪」は、除雪トラックを3台組み合わせて、低速走行でおこなう。重交通区間では、「マルチ除雪」が実施される。これは除雪車7台に標識車2台で作業。スピーディーに除雪ができ、「札幌南IC~札幌西IC」などで実施されている。 
 最後は「パワー除雪」と言われる方法。除雪トラックを4台組み合わせ、厳冬期の長時間降雪時に採用される。確実な車線確保を目指す。
 管理事務所のうち、室蘭が先シーズンでもっとも除雪出動回数が多かった。区間は「大沼公園 IC~登別室蘭 IC」間。回数はのべ1600回で、とくに「黒松内JCT~豊浦 IC」間が多かった。
 同社広報担当者は「『深川IC~旭川鷹栖IC』間、『江別東IC~奈井江砂川 IC』間についても、降雪量が多い傾向にあることから除雪回数も多いと思われます」と説明する。
 全体の傾向をみると、先シーズンと今シーズンを比較すると、今のところ、道内の高速道路全般としては、ほぼ同等の出動回数という。
 今後、NEXCOにとっても、熟練オペレーターの高齢化、労働人口減少による担い手不足は懸念される。そこで、雪氷対策作業の省力化・効率化等を目指す技術開発に取り組んでいる。
オペレーターが運転操作を行わずに自動で除雪する「ロータリ除雪車の自動化」を進めている。
 この仕組みは準天頂衛星システム「みちびき」からの測位信号を活用。高精度3次元地図を組み合わせて除雪車の自車位置や道路構造物の位置を正確に把握する。その位置情報から除雪車の作動制御装置と連動させ、自動運転化する。
 2019年から除雪機メーカーと共同開発をスタート。20年に自律走行、21年年に除雪装置操作の自動化 に成功。22年度中の自動化の完成を視野に入れている。
 また、道支社が手掛ける雪氷対策高度化システム(ASNOS)として、昨年度から「除雪作業の遠隔操作」の開発も進める。
 冬の高速道路の風物詩といえば、凍結防止剤を散布する光景だ。主に塩化ナトリウムを使っており、20年度で、道内高速道路の散布量は約3万㌧だった。
 同社担当者は冬の高速利用に関連して、次のようなをコメントを寄せてくれた。
「当社では、24時間体制で気象状況を把握し高速道路の雪氷対策作業を行っています。 除雪車は、安全確保のため、時速50キロ以下の低速で作業を行います。そのため、ご不便をおかけする場合がありますが、冬でも高速道路を安心して走行していただくために必要な作業ですので、ご理解とご協力をお願いします。お出かけの際は、最新の気象情報や道路交通情報をご確認のうえ、時間に余裕をもってご出発ください」

除雪車の遠隔操作のコクピット試験(NEXCO東日本提供)

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