市内中心部にシェルター撮り鉄がっくり 札幌駅構内まで〝顔を見せない〟道新幹線

©財界さっぽろ

桑園方面からみたJR札幌駅。在来線の右側に北海道新幹線の線路が建設される

 北海道新幹線札幌延伸ルートの大半をトンネルが占め、撮り鉄が狙う撮影スポットも限られるとみられている。車両がトンネルから地上に出て、札幌駅に乗り入れるまでのルートもその1つとされていたが、構造物で線路が覆われてしまうという。

駅乗り入れまでの1キロを雪害対策で

「新幹線の線路を屋根や壁などのシェルターで覆うことを想定しています。どのような構造にするかは現在、検討中です」
 鉄道建設・運輸施設整備支援機構(以下、機構)の担当者はそう説明したという。
 目下、北海道新幹線札幌延伸事業が進められている。札幌開業は2030年度末(31年3月)までに、とされている。建設中の新函館北斗―札幌間の全長は約212キロ。このうち、8割の約169キロをトンネルが占める。
 この札幌延伸事業はこれまで紆余曲折を経てきた。
 札幌市内のルートは当初、その大部分が高架橋の上を走る計画だった。ところが、道と札幌市の要請を受け、17年にかなりの部分が地下トンネルに変更された。
 これがケチのつけ始めだった。その後、新幹線札幌駅のホーム位置を巡り、1年以上も迷走が続いた。
 トンネル工事で発生した要対策土(自然由来の金属などが基準値を超えている土)でも問題が生じた。
 結局、工事は遅れ気味になっている。
 札幌市中心部のルートはというと、左㌻の地図の通り。石山通までは地下トンネルで、石山通から西8丁目線まではトンネル部分が地上でみえる構造になる。
 JR桑園駅に近いルートでは、地下トンネルが一部マンションの基礎部分とわずか4・3メートルの近距離に位置することも判明。住民から不安の声があがっていると本誌22年2月号で報じた。
 市内中心部のトンネル以外の部分はJR札幌駅手前の約1キロだ。盛土、高架橋構造を予定。ちょうどJR在来線と並行した高さになるという。
 この高架区間工事は今秋にも着工される見通しだ。現在、建設主体となる機構などが地域向けの住民説明会を実施するなどしている。
 冒頭の機構担当者のコメントは、住民説明会で発言されたもの。つまり、新幹線車両が〝完全〟に地上に出て、札幌駅に乗り入れるまでの線路上約1キロにシェルターが設置されるという。その理由は雪害対策。
「冬季の安全性確保のため、設置は必須であると考えています」(機構)という。
 高架式で雪害対策のシェルターというと、札幌市民は、地下鉄南北線の南平岸―真駒内間がイメージしやすいだろう。
 実際に、どのような構造になるのかは未定だが、このシェルターによって、新幹線車両が周囲から見られなくなる可能性があるという。
 その場合、市内中心部で新幹線の車両を〝拝める〟のは札幌駅構内のみになってしまう。これには、撮り鉄ファンもがっくりだ。
「トンネルが大半ということで、そもそも道新幹線札幌延伸での撮影スポットは限られるといれている。さらに、それが札幌市内中心部で撮れないとなると、いっそう残念だ。札幌駅周辺では、京王プラザホテル(地図内参照)あたりの高層建築物からが絶好の撮影ポイントとみられていた。北側に位置する北大のポプラ並木、そこから東側に目を向けて、JRタワー、大丸札幌店をバックに、新幹線車両が撮れただろうに……」とある年配の撮り鉄は肩を落とす。

北海道新幹線 札樽トンネル・桑園〜札幌駅エリア

縦断面

こちらもおすすめ

関連キーワード