藤女子大学/ハンス ユーゲン・マルクス 学長

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1944年生まれ。ドイツ連邦共和国ノルトライン・ヴェストファーレン州出身。68年聖アウグスティヌス哲学・神学大学哲学科卒業後に来日。72年南山大学文学部神学科卒業。78年グレゴリアナ大学大学院神学博士号取得。86年から南山大学文学部教授。93年より南山大学学長。08年から17年まで南山学園理事長。17年4月より現職。

伝統の教養と進化する専門課程。社会で活躍する女性を育成

――令和に入り、大学教育はどう変わるのでしょうか。

マルクス : 時代が変わっても本学の教育が根本的に変わることはありません。ただ、必要な改革は行います、そして終わりはありません。絶えざる改革を続けていきます。

――貴学と言えば教養教育です。

マルクス : 伝統的に教養教育を大事にしています。幅広い教養科目を「人間と宗教」「ジェンダー・キャリア形成」「人間形成」「リテラシー」に配し、広い視野や多角的な視点を養成しています。
 自分だけではなく他者がいて、その中で幅広い視野で物事を考えるためには教養が必要です。いくら語学が堪能でも教養がなければ外国人との対話もままなりません。

――キリスト教の教えにも通じるものがありますね。

マルクス : キリスト教概論などの従来科目に加え、カトリックの歴史から藤女子大学の歴史を学ぶ「キリスト教と藤女子大学」という科目があります。自校教育によって学生、卒業生の帰属意識も高めていきたい。

――専門教育課程もブラッシュアップしています。

マルクス : 例えば、人間生活学科のプロジェクトマネジメント専修は課題を発見し、解決するスキルが身に付けられます。1年次から段階的に基礎から応用までを学び、最終的に本学と協定を結ぶ企業などに出向き、各企業が抱える課題を一緒に検討して解決していきます。他にも、家政の技術を生かして商品開発のために自分でトートバッグを縫ったり、食物栄養学科では管理栄養士を目指す学生が商品開発を行うなど、本学での学びを実践しています。それらはプレゼンテーション能力を磨くことにもつながります。

――UHBとの提携も話題になりました。

マルクス : 社会で活躍する女性、そして若い女性が持つテレビに対する意見を取り入れたいということで、UHBさんからお声がけいただきました。学生たちには社会の現場を見て学んでほしいと思っています。

――社会で活躍している女性が多いですね。

マルクス : 卒業生の評判が良いことは本学に着任する前から耳にしていました。東洋経済の「有名企業への就職に強い大学200校」では119位。道内私立大学ではトップになりました。
 ただ、こうした良い評判やブランドがあるからといって安心してはいけません。より大学の魅力に磨きをかけていきます。

――教員になる学生も多い。

マルクス : 家庭科教員は道内の半数近くが本学出身です。現代家政では消費者経済など暮らしに関する分野も教えます。かつての家庭科のイメージとは異なり、生きる力をつける教科になっています。生活をいかにクリエイティブにし、生活しやすくするかを教えます。

――幼稚園、小学校教諭も。

マルクス : 教育の現場が教諭を必要としてる一方で、近年は幼稚園教諭を目指す学生が全国的に減少傾向にあります。本学では2020年に保育学科を基盤とし、幼稚園教諭、小学校教諭も目指せる「子ども教育学科」を開設しました。幼児教育と小学校教育をしっかりとつなげる保幼小連携です。
 例えば、幼稚園教諭を目指す学生や、幼児教育に携わる人が小学校ではどのような学びが行われて
いるのかを知り、一方で、小学校教諭を目指す学生が幼児期にどのような学びを受けてくるのかを知
る。そのような相互理解をすることで、一貫した教育者を養成できると考えています。

――来春から総合型入試を拡大しますね。

マルクス : 総合型入試の拡大に合わせて、入学前教育に力を入れていこうと考えています。総合型入試は年内である程度合格が決まりますので、入学までの間に気を緩ませずにしっかりと勉強してもらいたい。本学では4年半教育と表現しています。初年次教育からキャリア支援まで一貫して切れ目のない教育を提供し、社会で存分に能力を発揮できるような形で、社会に送り出します。

――24年春には天使大学との法人統合も控えていますね。

マルクス : 両大学ともに現在の名称で存続することで合意しています。北海道に2つしかないカトリックの学園です。力を合わせて発展させていきたいですね。

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北16条キャンパス 校舎左側がチャペル
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広大で自然豊かな花川キャンパス
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