北海道情報大学/西平 順 学長

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(にしひら・じゅん)1979年北海道大学医学部卒業。同大学医学研究科分子医科学助教授などを経て2006年北海道情報大学医療情報学科教授に着任。14年副学長、21年4月から学長に就任。医学博士。

技術・知識・コミュニケーション力を備えた即戦力を育む

――学長就任から1年が経過しました。

西平 : 就任後は、新型コロナ対応に力を注ぎました。オンライン授業をはじめとした教育DXをいち早く進めるとともに、対面授業や普通の学生生活を早く取り戻すことができるように、昨年5月には医療情報学部所属のスタッフ(医師、看護師)が中心となってワクチンの大学拠点接種も行いました。本学の学生や教職員に加え、江別市からの要請を受けて市内の幼稚園、小・中学校の教職員の方々も対象とし、計約4800人に対し2度の接種を早期に実施することができました。3回目の大学拠点接種も、今年の3月から開始して5月上旬まで実施しました。
 緊急事態宣言や蔓延防止等重点措置下と比べコロナ対策も少し落ち着いてきたところで、現在は教育・研究環境のさらなる充実や運営上の課題解決に向けて大学全体の動きを加速させています。
 少子化の進行により大学、特に私学を取り巻く環境は厳しさを増す一方ですが、本学の受験者数はここ数年増加しており、現在の在学生数は開学以来最高となっています。急速に進化する情報化社会の期待に応える人材を育成し、企業や受験生に求められるポジションの確立を目指しています。

――具体的には。

西平 : 即戦力となる人材の育成です。本学には、IT業界をはじめ企業の第一線で活躍した教員が多く在籍しており、より実践的な知識と技術に触れることができるほか、講義や実習で学んだことを生かし、企業や自治体と連携してさまざまな課題解決に取り組む「プロジェクト活動」の機会も多く提供しています。実社会でのさまざまな経験を通して、コミュニケーション能力をはじめ主体性や実行力、チームで働く力などの社会人基礎力が向上していきます。

――2022年度入学者選抜より「アンプレ選抜」を導入しました。

西平 : 将来の予測が困難な現代において、アントレプレナーシップ、すなわち起業家精神を備え、環境変化に柔軟に対応できる人材を育成するという目的で導入した総合型選抜の新しい選抜枠です。本学には起業するうえで重要な3つの要素であるビジネス、テクノロジー、デザインがそれぞれ学科として揃っています。将来の起業や独立に興味、関心のある人はぜひ挑戦してもらいたい。
 選抜方法は、設定された課題の解決手法やアイデアをプレゼンテーションし、最後に質疑応答も行います。プレゼン資料と発表内容、適性テストの結果から合否を判定し、合格者には本学独自の給付型奨学金(初年度66万円給付)が採用となる高い特典もついています。初年度は想定を上回る多くの受験者があり、その分狭き門となりました。起業する学生が出てくればと期待しています。

――就職が好調です。

西平 : 20年度の就職内定率は94・9%で、新型コロナの流行前と同水準に戻ってきました。社会全体でDX化が加速度的に進んでいることで、情報技術やプログラミングを学んだ学生は、業種を問わず多くの企業から求められています。
 今年2月には「産学連携型DXワークショップ」を3日間にわたり実施しました。日本IBM(東京都中央区)が主催し、本学や道内企業が連携して新しいビジネスアイデアを生み出そうというものです。初日と2日目はリモートで学生が企業とともにDXと地域課題を理解し、3日目には対面で進行役のファシリテーターが加わり、フィードバックをしていただきました。こうしたイベントは、学生が企業やビジネス、業務についての理解を深めることで、就職後のミスマッチを減らす取り組みの1つです。

――今後の方針は。

西平 : 海外で情報技術を活用したい学生向けに「国際情報コース」の設置を計画しています。海外の大学とのワークショップや、対面とオンラインを併用したハイフレックス型授業を導入して、国際的に活躍できる即戦力を育成します。本格的な始動は24年となりますが、来年度から試験的に一部を導入する予定です。充実したカリキュラムで国外にも優秀な人材を輩出していくことを構想しています。

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起業家精神を備えた人材を育成するアントレプレナーシップセンターでの活動
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即戦力となるITのプロフェッショナルを育成する「北海道情報大学」
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