札幌脊椎内視鏡・整形外科クリニック
長濱 賢 院長
ながはま・けん/2003年徳島大学医学部を卒業後、北海道大学整形外科入局。助教を経て15年我汝会さっぽろ病院着任。20年10月に開院。日本整形外科学会認定整形外科専門医。
脊椎内視鏡手術や新画像描出法開発など医療発展に注力
脊椎内視鏡手術を専門とする長濱賢院長が陣頭指揮を執る同院には5人の執刀医が在籍する。腰部脊柱管狭窄症や腰椎椎間板ヘルニア、腰椎すべり症など、脊椎疾患全般に対応。2020年10月の開院以来の手術数は既に650件(22年7月現在)で、このうち内視鏡手術は250件(同)に上る。
他の脊椎外科医から患者紹介を受けることも多々あり、道外から訪れる患者も多い。その理由として挙げられるのが内視鏡手術だ。
長濱院長が北海道大学病院整形外科助教当時の13年に考案した、内視鏡を用いた低侵襲腰椎固定術「PETLIF」がその代表例。これまでの腰椎固定術は、皮膚切開や筋肉剥離、骨切除が必要だったが、PETLIFでは内視鏡やネジを挿入する小さな傷を数箇所開けるだけで施術が可能だ。
通常手術に比べて入院期間も短く、早期の社会復帰を目指すことができる。
世界的にも先端の術式として認知されており、ヨーロッパやオーストラリアなどの海外でも逐次導入される予定だ。長濱院長は、国内はもとより海外の外科医に技術指導を行っている。
また、腰椎椎間板ヘルニアに対する全内視鏡下手術「FED」では、全身麻酔を必要とせず、直径8㍉の特殊な内視鏡を用いてヘルニアを摘出。1泊の入院で治療することもできる。長濱院長はこれまでに道内最多となる400件(22年7月現在)の手術実績を持つ。
こうした先端技術を駆使する長濱院長は、20年に富士フイルム(本社・東京都港区)とAI技術を用いた画像描出ソフトを共同開発するなど医療発展にも注力している。
「このソフトは腰椎椎間板ヘルニアの位置を3Dで描写が可能。内視鏡手術の安全性と確実性を高め、患者さんに合った手術法の選択に役立つ」と長濱院長。同時に身体にかかる負担の軽減にも貢献しており、現在では全国の医療施設に導入されている。
長濱院長は「PETLIFやAIを用いた画像描出法などの〝日本発〟の技術を世界的に普及させ、日本の医療レベルを前進させることが私の責務。これを全うしたい」と意気込む。