医療法人社団 みやざき外科・ヘルニアクリニック
宮崎 恭介 院長
みやざき・きょうすけ/1966年生まれ。聖マリアンナ医科大学卒。愛育病院、北海道大学病院、手稲渓仁会病院外科などに勤務。97年北大医学部大学院修了。2003年4月開院。日本ヘルニア学会理事、聖マリアンナ医科大学臨床教授、日本外科学会外科専門医、日本消化器外科学会消化器外科専門医。
鼠径部ヘルニアや下肢静脈瘤など日帰り手術は8900例
鼠径部ヘルニア(脱腸)は、本来、腹腔内にある腸や脂肪組織などの一部が鼠径部から腹腔外に突出する病気。脚の付け根あたりを鼠径部というが、飛び出す場所によって外鼠径ヘルニア、内鼠径ヘルニア、大腿ヘルニアの3つの種類がある。原因は、加齢などによって筋膜が弱くなること。50代以降の男性に多く、国内では年間14万人〜16万人が発症するとされる。元々鼠径部には筋肉がなく、薄い筋膜で覆われているため、腸が飛び出しやすい部位とされる。
初期症状は、鼠径部が膨らむ程度のため放置する人も多い。痛みがない場合は日常生活に差し支えはないが、便秘や膨満感、血流障害などで日常生活に支障を来たすこともある。
根治するには手術が必要で、欧米では日帰りが主流。その日帰り手術を行う道内でも数少ない医師が、日本ヘルニア学会の理事を務める宮崎恭介院長だ。2003年4月の開業から22年7月25日現在で、宮崎院長が行った日帰り手術は8900例。成人鼠径ヘルニアは7680例に上り、年間の平均執刀数は450例以上となっている。
「高齢化の影響もあり、手術数は増加している」と語る宮崎院長。鼠径部ヘルニアに特化して実績を重ねているため、低侵襲など高度な技術を修得。例えば、抗血栓治療中の患者は手術時の出血を抑えるため薬の服用を控えるのが通常だが、同院では服用を継続。心筋梗塞といった血栓症の危険回避を優先できるのも、宮崎院長ならでは。
日帰り手術のスケジュールは、午前9時半頃から開始し、通常約1時間半で終了。術後は回復室で休憩し、午後3時からのバイタルチェックで異常がなければ退院となる。
宮崎院長が行う「メッシュシートによる鼠径部ヘルニア修復術」は、ポリプロピレン製の網目状シートを用い、ヘルニアの出口とその周辺を広く覆う術式。性別や年齢、ヘルニアの大きさや種類などに合わせて、7種類のシートを使い分けている。
このほか、下肢静脈瘤などに対しても日帰り手術で対応。院内の滞在時間が短く、他の患者と接しないよう配慮するなど、プライバシーやコロナ対策は万全。診察はオンラインも可能だ。